2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2020年1月8日

契約更新時に価格見直す

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の白川裕調査役はLNGの今後の供給について「特に数年後には、米国の西海岸やメキシコ湾からシェールガスLNGが日本向けに大量供給が始まるとみられており、調達国の多様化と言う面では好ましいが、価格的には弱含み傾向が続く可能性がある」とみている。

 今回のように長期契約価格と実勢価格が大きく乖離した場合の対策としては①契約期間が20年だったものを5年契約にするなど短期契約にして、その時のマーケットを反映した価格で値決めをする②契約期間中でもある程度は数量を減らせるようになっている場合が多いため、産油国に対して量の削減を申し入れる③産油国に対して、消費国(例えば日本、中国、韓国)が連帯して値下げを申し入れるーーなどが考えられるとしている。数年前から日本の経産省が主導して毎年9月に石油やLNGの消費国が中心となった産消国会議を開催している。この会議を使って、LNG産出国に対して値下げ圧力をかけるのも一つの作戦になるかもしれない。

 しかし白川氏は「そうはいっても、東日本大震災の時は、今と逆の状況で、LNGのスポット価格が急騰し長期契約価格より高かった。しかし産ガス国は長期契約をしている日本のユーザーに対して値上げは求めなかったいきさつもあるため、今回の状況で大幅な価格値下げを勝ち取るのは難しく、できたとしても数%程度だろう。なぜなら産ガス国側は将来にわたり、これだけの価格で販売することを見越して国の経済発展計画を作成しているため、下手に値下げには応じられない経済構造になっている」と説明する。


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