2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2020年1月27日

 台湾の蔡英文総統は、1月11日に行われた総統選で、台湾の総統選史上最高となる817万票余りを獲得して圧勝、再選を果たした。この直後の1月14日、蔡総統は英BBCとの単独インタビューに応じ、対中関係等について語っている。インタビューでの主な発言は次の通りである。

Niyazz/iStock / Getty Images Plus

――今回の勝利に中国がどう反応することを期待するか?

中国は、選挙結果で示された台湾人の期待について真摯に考えるべきだ。選挙結果は台湾人からの非常に強いメッセージだ。彼らは常に、脅されるということを好まない。我々は、成功した民主主義を持ち、それなりの経済を持っている。我々は、中国から尊敬を受けるに値する。

――中国との対話を再開するために、何を提供し得るか?

私は、中国人が腰を据えてよく考え、現実に向き合う用意をすることが、鍵であると思う。彼らが現実と向き合う用意が無ければ、我々が何を提供しようとも彼らを満足させることは出来ないだろう。

――有権者にとり、なぜ中国がこれほど問題になったと思うか?

この3年あまり、我々は中国が脅威を強めているのを見てきたからだ。彼らは、あらゆる種類の行為をしてきた。軍事演習を行い、台湾の周りに軍艦を遊弋させ軍用機を飛ばした。それで、脅威の度合いは増し、香港での出来事ともあいまって、台湾人は、この脅威は本物であるという感覚を抱き、それはますます深刻になっている。

――馬英九・前総統は中国との経済的・文化的関係を強化しながら、台湾の地位の曖昧さの継続という小さな代価で台湾の民主主義を守ることができたが、そのアプローチのどこが気に入らないのか?

状況が変わった。曖昧さでは、もはや、それにより果たそうとした目的を果たすことができなくなった。我々は、今や全く異なる状況に直面しているのだ。

――あなたが誠意を見せないことも、中国の行動の一因なのでは?

私は、対中関係の扱いについては、むしろ理性的だった。我々は、中国にとり刺激的と思われるようなことをするのは控えてきた。台湾では、もっとやれという圧力が強い。しかし、3年以上もの間、我々は、現状維持が我々の政策であると中国に言い続けてきた。私は、これは中国に対し非常に友好的な意思表示だと思う。

――あなたは、少なくとも原理的には、台湾の正式な独立という考えに賛成か?

我々は、独立を宣言する必要はない。我々は既に独立国家である。我々は、中華民国(台湾)と名乗っており、政府があり、軍隊を持ち、選挙を実施している。


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