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2020年2月28日

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井上雄介 (いのうえ・ゆうすけ)

台湾ライター

1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。天津南開大学へ留学経験あり。共同通信記者、時事通信上海支局勤務、衆院議員政策秘書などを経て現在に至る。

台湾はイメージほどヤワな国家ではない

 また、台湾の強力な個人管理システムも、感染拡大防止に一役買っている。台湾は国民皆保険制度で、誰もがICチップ入りの保険証を持つ。個人の番号は、医療保険や身分証明書など公的書類に共通で、海外渡航や治療履歴がすぐに分かる。

啓蒙ポスター

 隔離を免れようとしても困難だ。湖北省などに滞在していた台湾人は、発熱などがあれば直ちに隔離される。密かに台湾に戻っても、当局が捕まえにくるそうだ。法務部調査局など台湾の情報機関が、スマートフォンを経由して個人の動向を詳しく把握しているとのうわさもある。末端行政機関で日本の町内会ぐらいの規模を管轄する「里」も、住民の動向に目を光らせている。国民管理は日本より厳しい。台湾はイメージほどヤワな国家ではない。

 このほか、今年1月の台湾総統選で蔡英文総統が圧勝し、中国当局が嫌がらせのため、中国人の台湾観光旅行を規制していたことも、かえって幸いだった。この見方は、反政権側の国民もしぶしぶ認めている。国民党の対立候補、韓国瑜氏は観光を含む中国との交流強化を訴えていた。ある市民は「韓氏が当選して、中国の観光客が押し寄せていたら、今ごろどうなっていたか」と話している。

 なおSARSは重症化すると肺に後遺症が残り、治癒後も激しい運動ができなくるという知識も、台湾人に共有されている。新型コロナウイルス肺炎も同じという。男性医師は「インフルエンザと同じと思うのは禁物」と話している。

  
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