どう動くトランプ氏
トルコとシリアが衝突の危機を高める時、焦点はやはりトランプ大統領がどう動くかだ。ポンペオ国務長官は25日、ロシアがトルコ国境に避難したシリア難民への人道援助を阻害しているとし、「ロシアとイランの支援を受けたアサドが残虐な新たな侵略を開始した」などとプーチン政権を非難した。
国務省のロビンソン国務次官補代理は議会証言で、ロシアがシリアで紛争を煽っていると批判。さらに「政治的、経済的利益を得るため、リビアが新たな標的になっている」と述べ、ロシアがシリアとリビアで影響力を拡大していることに憂慮を示した。
だが、肝心のトランプ大統領のロシアに対する姿勢は融和的であり、シリアの紛争に「介入しない」という基本的な考えに変わりはないように見える。しかし、いったんトルコとシリアが全面衝突に至った時、NATOの指導者として静観したままというわけにはいかないだろう。
トルコはNATOの一員であり、「加盟国に対する攻撃はNATO全体に対する攻撃として対応する」というNATOの規定もある。紛争の関係者である2人の“独裁者”、プーチン、エルドアン両大統領はトランプ氏のお気に入りだ。トランプ氏がどう動くのか。その危機管理能力が問われるのは必至だ。
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