WEDGE REPORT

2020年3月5日

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ゴーストタウン化する繁華街とカジノ

観光地として有名な福隆新街

 これらの絶え間ない防疫対応は、事実上の「経済的自殺行為」で、観光業に大ダメージを与えた。マカオ政府旅遊局によると、旧正月の大晦日にあたる1月24日からの1週間にマカオを訪れた人は前年比で78.3%減の26万1100人。

 中国本土の客だけでみると83.3%減の14万9200人となった。同期間における宿泊施設の客室稼働率も43.8ポイント減の52.9%と大幅に減少した。カジノの1月の売上も前年同月比11.3%減の221億パタカ(約3010億円)にとどまった。

 家計を助けるため2月13日にマカオ政府は、例年マカオ市民に給付している現金(今年は永久居民ならば約14万円配布される予定)の給付時期を7月から4月に前倒しすることを発表。さらに、肺炎終息後に3000パタカ(約4万円)の電子商品券を配布し、3月~5月分の電気・水道料金を全額補填するなどの経済対策を示した。

 マカオ-香港間のフェリーの運航は肺炎の影響で停止されたので、筆者は世界最長の橋である「港珠澳大橋(HZMB)」を通るシャトルバスを利用した。普段は満席となるが、この日は座席の半分も埋まっていなかった。マカオ半島の中心街を歩くと、本当に人がいない。

 マカオはスクーターの所有率が高く、街のあちらこちらにスクーターが停まっているのだが、スクーター用駐輪場も空いていた。普段は多くの観光客が歩くことのできないほど混雑しているセナド広場から聖ポール天主堂跡までの道もすいすいだ。

IR内にあるブランドショップも休業

 カジノの営業は停止し、一部のホテルも停止しているがIRリゾート全体としてはオープン扱い。客が来ないのでIR施設内にあるショッピングモールもほとんど店がシャッターを下ろしていた。重症急性呼吸器症候群(SARS)の時でもカジノは閉じなかったので、ゴーストタウンのような光景は筆者も初めてだ。

 日本料理店のオーナーは「普段はランチで50人位のお客さんがいますが、最近は10人台です。銀行に融資の話をしに行きましたが断られ、大家と家賃の値引き交渉を初めています」と話す(最終的に半額となったそう)。ただ、マカオ半島北部などのローカルな生活圏に行くと、スーパーで買い物をする市民を見かけるなど、地元民は、それなりの生活が行われていることも述べておきたい。

公園も閉鎖された

 マカオでは3月3日までの28日間、新規の感染はゼロだ。新型肺炎は終息したわけではないので、今後、再び感染者が出る可能性はあるほか、中国人のマカオへの渡航は依然として制限されており、経済的には厳しい局面ではある。しかし、ウイルスの恐怖感が減ったことは、どれだけ市民に勇気を与えることか。中途半端なやり方で水際対策に失敗し、小中高への臨時休校を要請するまで事が大きくなってしまった日本とは対照的だ。当初はかなりの犠牲を強いると思えたが、ちゃんと対応すれば、結果的には最小の犠牲で済んだといえるだろう。

  
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