2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2020年3月9日

無観客ならば中止と同じ……

 無観客であれば、感染リスクは大幅に低くはなるだろう。しかしながら単純に考えても来日外国人を含め、大会観戦に訪れる人が「ゼロ」になるのは致命的だ。インバウンド収入など経済面でも大幅なダメージを受け、開催地である日本は確実に〝負の遺産〟を背負うことも避けられない。「そんな〝負け戦(いくさ)〟にあえて乗り出すのはおかしい」というのが東京オリ・パラ大会組織委員会の開催強硬派たちの主張である。

 「要は無観客ならば中止と同じ。組織委員会の幹部はこうした考えで凝り固まっています。無観客のアイデアには耳を傾けようともしていません。新型コロナウイルスの感染拡大にも『こちらから動きや対応策を発信すれば、かえって騒ぎを大きくして揚げ足を取られかねない』とし、当面は静観する構えをとる姿勢のようです。

 『もし我々がIOCとともに先手を打つ形で無観客の方向性を決めた後、ウイルス感染が終息に向かっていったら〝言い出し損〟になってしまうかもしれない』と真顔で口にする幹部もいる。これには現実路線派も『自分たちの利益や体面ばかりしか気にしていないのか』と呆れ返っています。いずれにしても組織委員会の中は通常開催か否かで意見が割れ、歯車がかみ合っていないのは明らかです」

 それにしても、このような状況になってまで東京五輪を開催する意味は果たしてあるのだろうか。この大会にすべてをかけてきたアスリートたちのことを思うと、もちろん心が痛む。だが決して大げさではなく人類の危機に直面してしまう可能性が生じるかもしれないのであれば、IOCは勇気ある決断をしなければいけない。

  
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