定年バックパッカー海外放浪記

2020年4月26日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

夜半までつづく喧騒、船上パーティー

ドナウ河畔のサイクリングロード

 9時前に寝袋にもぐり込んだ。夏場のドナウ川はクルーズを楽しむ観光客を満載した大型クルーズ船が頻繁に行き交う。クルーズ船では毎晩生バンドが演奏してパーティーだ。

 バンド演奏が至近距離から聞こえてくる。風上の船上の演奏が風下のテントに押し流されてくるのだろう。耳元にスピーカーが置かれた感覚だ。

 ひっきりなしにクルーズ船が行き交うので、嫌でもヴァラエティー豊かな世界の音楽を臨場感たっぷり聞くことになった。

 音楽の喧騒が止んだので時計を見ると午前1時。直後に雷鳴が轟いた。雷鳴がどんどん近くなってきた。午前2時前に至近弾がドーンと炸裂。そしてミシミシと大木が倒れる音が。

 その後もドカン、ドカンと轟音が延々と続く。荒天で視界不良のためクルーズ船はひっきりなしに大音量でボー・ボー・ボーと警笛を鳴らす。ドナウ川を遡上するクルーズ船は強風下でエンジン全開。ドッドッドッと重低音が腹に響く。

 さらに大きな火災か事故が発生したのか救急車や消防車のサイレンが彼方此方で鳴り響く。こうして雷鳴と警笛とエンジン音とサイレンの四重奏はエンドレス。

嵐の一夜が明けてスロバキアへ

 7月7日午前、濡れたテントを少し乾かしてキャンプ撤収。河川敷のサイクリングロードは彼方此方で風倒木が道を塞いでいた。エステルゴム大聖堂からドナウ川を渡りスロバキア領に入り、田舎道をドナウ川沿いにひた走る。

 午後4時イザ(Iza)という村に到着。地元民で賑わっているパブがあった。

 愛想のよいバーテンダーのアラフォー女性が仕切っており、他にコック、ウェイトレスだけの個人経営のパブらしい。善男善女で賑わっていい雰囲気だ。一杯目のビールを飲み干す頃には善男善女と仲良くなって盛り上がってきた。

 頃合いを見てマネージャー格の女性にパブの庭で夜営する件を打診したら、直ぐに電話してオーナーの了解を取り付けてくれた。酔っ払う前に急いでテントを張って寝袋を敷いた。

 ねぐらが確保できたので気が大きくなってきた。相客のおごりの二杯目のビールを片付けて、更に調子に乗って蒸留酒スリヴォヴィツァを善男善女一同で一気飲み。

 こうして相当に出来上がったところでオーナーの奥さんが娘を連れてやってきた。日本人のオジサンがどんな人間か興味津々に偵察に来たらしい。奥さんは英語が話せて上品で意気投合。娘さんは小粋な眼鏡をかけて大学で建築学を学んでいるという美人さん。愛嬌があって可愛い! 記憶が飛んで……。朧月夜だった。

次回に続く

  
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