2022年12月6日(火)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年5月22日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

オバマへの責任転嫁

 トランプ大統領は5月14日に放送された保守系の米FOXニュースとのインタビューで、連邦政府から武漢ウイルス研究所への資金援助に関して、「オバマ・バイデンは腐敗していた。オバマ政権は2014年に何百万ドルも資金を提供した。私はそれを止めた」と回答しました。

 トランプ大統領は、ワシントンの腐敗した政権や人物を「沼(スワンプ)」と呼んでいます。バラク・オバマ前大統領は「沼」であり、自分が武漢ウイルス研究所への資金援助を中止して、「沼の水を抜いた(腐敗を取り除いた)」と言いたかったのでしょう。

 トランプ大統領は同政権と武漢ウイルス研究所の関係を切り離し、オバマ前政権と同研究所を結びつけて、新型コロナ感染の責任を転嫁しました。新型コロナ感染の問題を「オバマの失敗」にすり替えたのです。

 加えて、トランプ氏はオバマ前政権が米国民の税金を使って武漢ウイルス研究所に資金援助を出したのにもかかわらず、米国内に新型コロナ感染が拡大して大きな代償を支払ったと主張し、彼らの怒りをオバマ氏に向けることも可能です。

 つまり、トランプ大統領はオバマ前政権で税金が米国の国益に反する形で使用されたと議論できる訳です。一言で言えば、オバマ前大統領は「米国第一主義」ではないとアピールできます。

 これに対して米メディアは、武漢ウイルス研究所への資金援助は370万ドルではなく、実際は約60万ドル(約6500万円)だったと報じています。しかも、トランプ政権は19年7月、エコヘルス・アライアンスに新たに5年間の資金援助の更新を承認したというのです。オバマ政権のみの責任であると言い切ることは到底できません。

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