海野素央の Love Trumps Hate

2020年5月22日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

(REUTERS/AFLO)

 今回のテーマは、「トランプの責任転嫁と恨み」です。新型コロナウイルス感染の初動対応のまずさを非難されたトランプ大統領は、米国民の目を他者に向けるために、「オバマ責任論」及び「中国責任論」を展開しています。加えて、中国に対する心理的変化がトランプ氏に見られます。

 そこで本稿では、米連邦政府から中国湖北省にある中国科学院武漢ウイルス研究所への資金援助の問題及び、トランプ大統領とホワイトハウス記者団とのやりとりを取り上げながら、「オバマ責任論」と「中国責任論」について述べます。

武漢ウイルス研究所への資金援助

 米メディアによれば、国立衛生研究所(NIH)を構成している研究所の一つである国立アレルギー感染症研究所(アンソニー・ファウチ所長)が、新興の感染症研究を専門とする非営利団体「エコヘルス・アライアンス」に業務委託し、2014年から19年までに約370万ドル(約3億9860万円)の資金援助を行っていました。

 この資金援助が政治問題化しています。というのは資金援助の一部が、エコヘルス・アライアンスを経由して、トランプ政権が新型コロナウイルスの発生源とみている武漢ウイルス研究所に流れていたからです。

 ニューヨークに本部を置くエコヘルス・アライアンスは1971年に設立された非営利団体で、約30カ国の研究所とウイルスに関する共同研究に取り組んでいます。同団体は武漢ウイルス研究所と協力して、コウモリ由来のコロナウイルスの変異と、人への感染リスクを実験する「機能獲得調査」を進めています。

 機能獲得調査は病原体の感染力を高める可能性があるため、研究所からウイルスが外部に漏れた場合、感染の大流行を引き起こすリスクがあります。仮にそうなれば、何百万人もの感染者を出します。

 そこで、オバマ政権は11年に国内の全ての機能獲得調査を中止すると発表しました。代わりに、危険の高いウイルス研究を海外アウトソーシングに出すことになった訳です。

 今回、国立アレルギー感染症研究所からの資金援助の一部がエコヘルス・アライアンスを経由して武漢ウイルス研究所に支払われていたことが明らかになりました。

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