Wedge REPORT

2020年6月1日

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もう這い上がるしかない

 今年2月のキャンプ中も、その考えはほぼ変わらず。ブルペン投球やシート打撃の内容を見たOBやメディア、ファンがやや過熱気味に「今年こそはやれる」と持ち上げても矢野監督はどこか冷めた雰囲気を漂わせつつ、これまで通りに一歩引く形での藤浪評を崩さなかった。矢野監督に近い球団OBは、このように補足する。

 「矢野監督はずっと藤浪の人間性も見ながらの総合的評価を与えていたのだろうと思います。今回の二軍降格にあたって、矢野監督は藤浪の遅刻が初めてではないことをうかがわせている。もちろんチーム内の人間ならば誰もが知っていることですし、今までも遅刻うんぬんだけでなくチャランポランな態度が見え隠れしていたので多かれ少なかれ『藤浪は何をやっているんだ』という不満は出ていました。

 その流れの中で藤浪は春先にコロナ感染の要因になったホームパーティーへの参加が発覚し、反省したかと思いきや舌の根も乾かないうちにまたしても遅刻してしまったというわけです。藤浪には〝這い上がって来い〟というスタンスを取り続け、我慢を重ねていた矢野監督もさすがに堪忍袋の緒を切らしてしまったのでしょう。これまでの大スランプ、コロナ感染を招いたパーティー参加の件でも藤浪のことを何とか我慢していたが、もうさすがに『仏の矢野も三度まで』ではないでしょうか。藤浪は〝最後通告に等しい〟ととらえ、いい加減に危機感を覚えないと先はない」

 それにしてもNPB(日本野球機構)の2012年ドラフトを経て同じ高卒としてプロ入り同期だったはずの二刀流・大谷翔平投手(アナハイム・エンゼルス)と、これだけ大きな差がついてしまった現状は如何ともし難い。順調に育っていれば、今ごろは大谷と同じようにポスティングシステムで海を渡ってメジャーリーグ入りし、どこかのMLB球団でプレーしていたとしても不思議ではなかったような気がする。いずれにせよ、かつての藤浪にはそう思わせるぐらいのスター性と潜在能力を秘めていたのは間違いない。

 阪神という人気球団に入団して周りからチヤホヤされ続け、もしかすると本人も気付かないうちにどこか勘違いしてしまっていたことが「運の尽き」だったのかもしれない。このまま終わってしまうか、あるいは奇跡の復活を果たせるか。とにかく藤浪はトレードではなく、今の阪神で再生を図るしかなさそうな雲行きである。イバラが待ち受ける先々に逃げ道はない。しかしながら落ちるところまで落ちた背番号19は、もう這い上がるしかないのである。今度こそ気付いて欲しい。

  
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