消費税増税に関する社会保障・税一体改革関連法案は、民主党内から57人の造反議員が出たものの衆議院を通過した。仮に民主党が分裂したとしても、小沢派の50人前後が党を割るだけであるから、増税合意の3党の多数は揺るがない。
したがって、消費税増税は可決されることになるだろう。しかし、社会保障・税一体改革関連法案がどうなるのかは、良く分からない。もちろん、民主党が少数与党になるとどうなるのかという大問題はあるのだが、それは今回の話題とはしない。
すなわち、少数野党になれば、いつ総理不信任案が通るか分からない。不信任案が通れば解散するしかない。そうなれば、自民党は、消費税に賛成して解散を勝ち得たことになる。解散になれば、自民党も大躍進しないとは思うが、民主党は壊滅的打撃を受けるだろう。
民主党は、党が壊滅的打撃を受けても消費税を引き上げたかったのだろうか。それでも、小沢一郎元代表にひっかきまわれるよりましだと考えたのだろうか。私は、ここまで仲間に嫌われる人物は大人物かもしれないとも思う。さて、話を元に戻そう。
増税で何をするのか決まらない
消費税増税ではなく、消費税増税と社会保障改革とを一体として考えようというのが、社会保障・税一体改革ということだった。
税・社会保障ではなく社会保障・税一体改革というのがミソである。言葉の順番から、まず、社会保障を議論して、税を議論するということになる。少子・高齢化に向かう日本において、少子化対策にも高齢化に備えた社会保障の充実のためにも、増税が必要で、社会保障のために増税するというイメージが生まれた。
また、消費税が逆進的であるとして、そのための対策も必要ということが強調された。どうしても消費税を増税したい財務省が、消費税を増税すればお金をばら撒けると政治家に囁いたのであろう。
3党とも、消費税を引き上げて、それぞれが重要と考えている少子化対策、高齢者のための社会保障の充実、逆進性対策、その他、税収が増えるなら分け前をよこせということまでは一致しているが、具体的にどこにどれだけ使うのかは決まらないようだ。