2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年8月4日

個人的な思い

 オバマ政権時代にバイデン氏が一緒に仕事をしたのが、ライス元大統領補佐官です。言うまでもなく、ライス氏の専門は外交・安全保障です。

 バイデン氏は記者団からの質問に、自分はトランプ氏よりも外交・安全保障問題を理解していると強調しました。バイデン・ライス両氏の強みは外交・安全保障なので、弱みを補完し合う関係ではありません。

 ただバイデン氏は高齢なので、任期の途中で副大統領に交代する可能性がないとは言い切れません。となると、外交・安全保障に強いライス氏は副大統領として適任といえます。

 従って、最終的にハリス上院議員とライス元大統領補佐官の2人に絞られるでしょう。

 では、仮にバイデン前副大統領が上記の黒人女性ではなく、白人のエリザベス・ウォーレン上院議員(71)を副大統領候補に選択した場合、バイデン候補はどのような判断基準に基づいて決定したのでしょうか。おそらく、黒人票は充分獲得できるので、左派の票を狙った方が得策であると判断したのでしょう。

 バイデン前副大統領は民主党大統領候補指名争いで、ライバルのバーニー・サンダース上院議員に大苦戦を強いられました。その不利な状況を覆してくれたのが、南部サウスカロライナ州の黒人の有権者でした。彼らがバイデン氏に投票したため、同氏は勝利を収めることができました。

 サウスカロライナ州の黒人票がバイデン候補にとってゲーム・チェンジャー(不利な試合の流れを変えるもの)になったのです。バイデン氏の黒人に対する個人的な思いが、副大統領候補選択に影響を及ぼす可能性は決して小さくありません。

副大統領候補指名と全国党大会の相乗効果

 16年米大統領選挙において、野党共和党のトランプ候補(以下当時)は7月15日、マイク・ペンスインディアナ州知事を副大統領候補に選択したと発表しました。共和党全国大会開催の3日前でした。その後、トランプ氏は支持率を伸ばしていきます。

 そしてついにトランプ候補がヒラリー・クリントン候補を抜きます。同年7月27日のリアル・クリア・ポリティックスによれば、各種世論調査の平均支持率はクリントン候補が44.6%、トランプ候補が45.7%でした。僅か1.1ポイントですが、トランプ候補が逆転しました。

 20年米大統領選挙ではトランプ大統領は副大統領候補を選びません。従って、4年前のような副大統領候補選択と全国党大会開催による相乗効果は期待できません。逆に、バイデン氏は相乗効果が出て支持率を上昇させ、トランプ氏との差を広げる公算が高いです。


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