2024年11月22日(金)

Washington Files

2020年10月5日

再選への道はさらに遠のく

 こうした中、注目されるのが、最近の有権者動向だ。

 最新の各世論調査結果を下に、各州ごとにトランプ、バイデン両陣営の支持率をまとめたウエブサイト「270towin.com」によると、10月2日時点での全米50州全体の支持率では、バイデン51%に対し、トランプ氏43%で、バイデン氏が引き続き8%のリードを保っている。

 さらにトランプ陣営にとって気がかりなのは、州ごとの調査結果だ。

 同ウエブサイトによると、前回大統領選でトランプ氏が接戦で制したウイスコンシン、

ミシガン、ペンシルバニア3州においては、今回バイデン氏がウイスコンシン州で50%対44%、ミシガン州で51%対44%、ペンシルバニア州で50%対44%と、かなりの差で優位に立っていることがわかった。

 このほか、今回トランプ氏にとって再選のために「絶対死守」を迫られている接戦州のフロリダ州(バイデン氏48%対トランプ氏47%)、アリゾナ州(バイデン氏48%対トランプ氏46%)、ジョージア州(バイデン氏48%対トランプ氏46%)でも、僅差ながら逆転され劣勢に立たされている。

 このように選挙戦終盤に近づくにつれて、トランプ氏にとって傾勢不利が目立ち始めた背景として、①大統領の姪で心理学者のメアリー・L・トランプ女史が出版した自著の中で「ドナルドは私たちファミリーの中で作り出された世界一危険な男」「米国大統領として最も不適格な人物」「ファミリー資産を横領した」などとスキャンダラスな内幕を暴露した(7月14日)②著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏による一連の独占インタビューの中で大統領が米軍戦死者を「負け犬」「愚か者」などと評し、全米の現役兵士、退役軍人の猛烈な反発を招いた(9月13日)③ニューヨークタイムズ紙がトランプ氏の過去の納税実態に関するスクープ記事を掲載、「過去15年のうち、10年分の所得税を全く払っていなかった」「大統領就任後の2016年、2017年度分についてはわずか750ドルしか納税しなかった」と報道した(9月27日)―など、大統領としての資質、品行などの評価を下げる材料が相次いだことが挙げられる。

 その直後に飛び出したのが、大統領自身のコロナ感染の衝撃的ニュースだった。

 大統領はコロナ感染騒ぎが広まった今年3月以来、コロナ拡散の危険を一貫して軽視してきただけでなく、予防対策より「経済活動再開」を優先、政治集会などでも自らマスク着用を拒否してきただけに、これまでの態度と責任がより厳しく問われることは必至だ。

 再選への道はさらに遠のきつつある。

  
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