2022年12月4日(日)

WEDGE REPORT

2020年11月15日

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政府内部からも「不正なし」

 ニューヨーク・タイムズによると、国土安全保障省のサイバーセキュリティ庁は声明で、「選挙は米史上、最も安全に行われた。選挙機器が票を削除したり、なくしたりした証拠は一切ない」と発表した。同庁は各州の選挙プロセスの安全を維持する責任を担っており、不正を主張するトランプ氏とは真っ向から対立した格好だ。

 さらに不正選挙を監視するために任命された16人の連邦検察官は13日、バー司法長官に書簡を送り、「重大な不正の証拠はなかった」と意見具申した。いずれも選挙に不正行為や詐欺行為などがなかったことを補強する動きであり、トランプ氏にとっては耳の痛い話だろう。

 トランプ氏は同日、コロナウイルスの急拡大に伴いホワイトハウスで8日ぶりに会見を開いたが、その際、「将来、何が起こるかは誰にも分からないが、どちらの政権になるかは時がたてば分かる」と述べた。同氏はこれまで、根拠なしに選挙の不正だけを一方的に発信してきたが、今回の発言は意味深長なニュアンスが含まれているようだ。

 ワシントン・ポストがトランプ大統領と今週、直接会話した高官の話として報じるところによると、大統領は「2024年の次期大統領選に再び立候補しようと思う」と語っており、「バイデン氏の勝利を覆すことは不可能である」ことを十分認識しているようだという。

 トランプ氏が法廷闘争の矛を収め、真剣に次期大統領選への出馬を考慮しているのか、それとも負けたことが信じられずに錯乱状態にあるのかは分からない。だが、はっきりしているのは、トランプ氏のこうした発言は次期大統領選に向けて隠忍自重してきたペンス副大統領にとっては困惑以外の何物でもない。自分のことしか頭にないトランプ氏はペンス氏のことなど歯牙にもかけていないかもしれないが、ペンス氏の心は穏やかではないはずだ。

 トランプ氏は政府全体にバイデン政権移行チームへの協力を一切しないよう厳しい統制網を敷いた。このため移行チームは元政権当局者らに依存して新政権への準備を進めている。しかし、とりわけ安全保障問題でスムーズな政権移行が進まないことに対する懸念は高まりを見せている。

 ヘーゲル元国防長官(共和党)ら軍や安全保障の超党派の専門家約160人が13日書簡を公表、テロや安全保障面での極秘情報が次期政権に円滑に提供されなければ、「国の安全保障に深刻なリスクをもたらす」と警告した。不正投票というトランプ大統領の主張に正当性が薄くなった今、大統領がずるずると敗北を認めなければ、政治の混乱に乗じてロシアや中国が冒険心を起こすかもしれない。トランプ氏はそのことを肝に銘ずべきだ。

  
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