オバマ大統領が7月19日付のWSJに「サイバー攻撃の脅威を深刻に捉える」と題する論説を寄稿し、サイバー攻撃に備える必要を強調するとともに、上院が2012年サイバー安全保障法を採択することと議会が包括的な法を作ることを求めています。
すなわち、サイバー攻撃の脅威は、もっとも深刻な経済・国家安全保障上の問題だ。これまで米国の重要インフラが深刻に阻害されたことはないが、外国政府、犯罪集団、個人が毎日、我々の金融、エネルギー、公共安全システムを探っている。核や化学産業を含む重要分野のコンピュータ・ネットワークも攻撃対象になっている。
サイバー攻撃の結果を想像することは難しくない。将来の紛争において、米国の軍事力に戦場で対抗しえない敵が、米国内でのコンピュータの脆弱性を利用しようとするかもしれない。また、金融システムを攻撃し金融危機などを作り出しかねない。
オバマ政権は、サイバー安全保障を優先事項とし、法的措置も提案した。議会は包括的なサイバー安全保障法を採択すべきだ。政府は脅威に関する情報を民間会社に提供すべきであるし、企業も政府とデータや情報を共有すべきだ。
しかし、情報の共有だけでは十分ではない。最終的にはサイバー安全保障上のギャップを埋めなければならない。多くの企業は防護措置をとっているが、不十分な対策しかとっていない企業も少なくない。これは危険なことだ。米国民は重要インフラを運営する企業が基本的なサイバー安全保障措置をとっているかどうか、知らされるべきである。他の面で安全保障措置をとりつつ、サイバー攻撃に無防備でいることは無責任だ。
サイバー安全保障基準を政府と産業がパートナーとして開発することになるだろう。既にこういう基準を満たしている会社は何もしなくてよい。安全保障を強化したい会社はどうするか、柔軟に考えてよい。また米国民のプライバシーと自由は保護される。
これは緊急性のある国家安全保障問題への責任ある、協力的なアプローチである。超党派の上院議員がこれを提案している。私(オバマ)は、上院に2012年サイバー安全保障法を採択するように、議会に包括的な法律を採択するように勧める、と主張しています。
◆ ◆ ◆
オバマ大統領が、サイバー攻撃の脅威について、自らの名前で警鐘を鳴らし、とるべき措置を述べていること自体、この問題の深刻さを示しています。