2022年12月4日(日)

田部康喜のTV読本

2020年12月11日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

子どもたちに「愛してる」と言いながら

 第9話(12月5日)に至って、多恵(鈴木)が病院のベッドに横たわっている。望美を訪ねたときにけんか状態となって、もつれあい、脳梗塞で倒れて人事不省に陥っていた。

 愛美(橋本)は、多恵の日記を読んで彼女が望美に会った理由が、元の明るい少女に戻るように説得することにあったことを知って、望美に告げる。結人(坂口)は、望美が残していった少女時代から使っていたラジカセに、望美が目覚めた日にその喜びを多恵が録音した内容を彼女に聞かせる。「私は叫びたいぐらいうれしかった。もう一度抱きしめることができる。もう一度声を聴くことができる」と。

 望美は愛美が多恵を看病している病室に入って、ふたりで懸命に多恵を目覚めさせようとする。「とんぼのめがね」を歌いながら。明け方に愛美は眠りこけ、望美は多恵に語りかける。

 「わたしが眠っていたときに、川の向こうがきれいだったので行こうとしたら、ママの声が聞こえた。『望美、いっちゃだめよ』って。だから、ママも戻ってきてよ」

 多恵は目覚める。「ああ、よかった。もうあなたたちより先に死ねる。望美、愛美、愛してる」

 「愛してる」という言葉を繰り返すうちに、その言葉か細くなって、途切れた。多恵の言葉に、「愛してる」とこたえる望美と愛美。

 遊川和彦は、美しい臨終を描いてみせた。

 葬儀を終えて、進次(田中)と望美(柴咲)、愛美(橋本)は3人ですき焼きを食べようとする。多恵の気配を感じたような気がして、望美は2階の彼女の部屋に行くが、その姿がないのは当然である。

 残された日記のページをめくっていると、右下にとんぼが飛ぶパラパラ漫画が目に入る。そして、最後にとんぼは消えてしまう。

 望美は愛美に語りかける。「まなちゃん、ママがいなくなっちゃった。私のために25年間も自分の人生をあきらめて愛情を注いでくれた。私はママになにもしてあげられなかった」

 「ママに会いたいよう」と泣きながら、ふたりは抱き合うのだった。

 最終回のドンでん返しが待ち遠しい。

  
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