電柱にも登り「基本」を知る
座学だけで終わらせず現場を重視
研修スケジュールは4月の入社から2週間、東京・調布市にある研修センタで2週間の導入研修が行われる。宿泊設備が整った広大な敷地を持つ場で、約300人の新入社員が寝食を共にする。当初の研修では、座学のほかに昇柱訓練が行われる。大半の新入社員は、実際に電柱に登ることはないが、電信柱は通信の基礎でもある。事務系、技術系、男女の関係なく電柱に登ることはNTTマンの基本でもある。ちなみにNTT東が管理する電柱は約570万本あるという。
そのほか、光ファイバーケーブルをつなげる融着接続なども行う。これらの訓練が今後の業務につながるのだろうか。「事務系でも技術系でも、お客様とNTTをつなぐ原点になる作業です。座学で終わらせるのではなく実際に体験することに意義があります」と鈴木担当課長はいう。
導入研修後は、NTT東エリアの17都道府県の各支店に配属され1カ月間のジョブローテーションを実施。さらに1カ月半、実際の業務に携わる業務参加型研修を行い働く職場をイメージしてもらう。
7月中旬に研修センターに集まり3日間の集合研修を経て、再び各支店に戻り販売研修に入る。3カ月間にわたり先輩社員と同行して顧客訪問を行い、ビジネスホンなどの通信機器販売や光回線の営業活動を行う。夏場だが上着着用、すべての新入社員が必ずやらなければならない。「受け身の研修姿勢でいれば、この時点で続きません。お客様と会いコミュニケーションを交わすことでビジネスマインドの醸成を期待しています」と鈴木担当課長は、販売研修の必要性を強調する。もちろんノルマなどは課さない。営業が苦手な人も意欲さを評価するという。
時には単独で個人宅の訪問も行う。そこで要望やクレームも聞き、徐々に仕事がわかってくる。販売研修は3カ月と期間が長く、炎天下の街を歩き顧客訪問するのは厳しく辛い研修になる。「大変な業務を経験すればそれだけ記憶に残ります。これが引き継いでほしいNTTの伝統でもあるのです」。こうして一歩成長した段階で10月に正式な配属があり、翌年の2月から2年目の研修に向けた業務改善活動の事前勉強会が研修センターで1週間実施される。
2年目の研修を過ぎたころから
新入社員の顔つきが変化
NTT東の新入社員研修は2年目からが本格的な研修になると見ることができる。1年目は通信事業の基本と、しっかり潜在意識に埋め込んでほしい顧客第一主義の伝統を体得してもらう。2年目からは業務改善活動、業務分野・スキル別研修を経て3年目後半から4年目以降にかけての資格取得、自己研さんへと続く。その後は社内の人材マップへと入る。新人としての研修プログラムは3年だが、その後も自身を磨く研修は続く。