Washington Files

2021年1月7日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

新年祝賀パーティ・ドタキャンの真相

 しかし、新年祝賀パーティ・ドタキャンの真相は、元旦からホワイトハウス執務室に首席補佐官数人の側近を呼び集め、州務長官を何としても説き伏せるための準備だったことが、ワシントン・ポスト紙のスクープ報道によって判明した。

 同じ共和党の各州高職者が、過去にトランプ大統領の支持を得ながらも、バイデン氏勝利が確実視されるに至った去る11月半ば以降、敢然として袂を別ったケースはこれが初めてではない。

 大統領はミシガン州でも自らの敗北を認めず、同州の共和党州議会議長および党幹部数人を直接ホワイトハウスに呼びつけ、集計結果を認めないよう圧力をかけた。しかし、一行は大統領との会談後、選挙結果の否定は「アメリカデモクラシーの根幹を揺るがす行為だ」として、記者団の前できっぱり要求をはねのけた。

 同じく敗退したペンシルバニア州の選挙結果についても、大統領は同州共和党議員団に電話を入れ、「選挙大規模不正」を訴えたが、ここでも結果は覆らなかった。

 しかし、トランプ氏の威信低下は各州政府レベルにとどまらなかった。司法面でも、トランプ氏が任命した判事による「不都合な裁定」が相次いだ。

 テキサス州では去る1日、トランプ大統領が任命したカーノドル連邦地裁判事が、ウイスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア各州で大統領が敗北した選挙結果を無効とする同州選出下院議員ら15人の共和党議員の訴えを「法的根拠なし」として却下した。

 議員たちはこれを不服としてただちに巡回裁判所に控訴、しかし、ここでもトランプ大統領が任命した判事ら3人の控訴判事団が翌2日、地裁判断通りの裁定を下したため、選挙結果を覆すには至らなかった。

 他州でも、大統領の意を受けたホワイトハウス顧問団が同様に、開票結果を否定する訴訟を立て続けに起こしたものの、すべて敗訴の憂き目にあっている。

 レームダック化したトランプ大統領の求心力低下は、共和党が多数を制する米上院でも鮮明化しつつあった。

 年末にかけて民主党が多数を占める下院は、コロナウイルス危機に対処する緊急財政支出法案について、トランプ大統領が強く主張していた国民一人当たり2000ドル支援を盛り込んだ修正案を賛成多数で可決した。しかし、ミッチ・マコーネル上院院内総務ら共和党幹部議員たちが、大統領の意向を無視「社会主義的大盤振る舞いだ」として上院での審議を凍結、そのまま修正法案は成立しないまま年越しとなった。

 さらに年明けの1日に上院は、いったん可決しながら大統領が拒否権を発動した「国防権限法案」について改めて審議、結局3分の2以上の賛成多数で拒否権を覆し、法案を成立させた。大統領は同法案について「南北戦争時代の南軍将軍たちの名前を国内軍事基地から削除させる付帯条項が含まれている」などの理由から強硬に反対し、署名を拒否していた。大統領拒否権が政権党の共和党上院で覆されたのはトランプ政権発足以来初めてという屈辱を味わされたことになる。

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