2024年7月14日(日)

Wedge REPORT

2021年2月19日

 ところが、ファイザー・ビオンテックのワクチンは95%、そしてモデルナのワクチンは94・1%と驚異的な有効率をたたき出した。例えば、ファイザー・ビオンテックのワクチンの第三相試験の中間解析では、ワクチンを投与するグループと偽薬(プラセボ)を投与するグループでそれぞれ約2万人ずつ接種したところ、プラセボでは162例の発症者が認められたのに対して、ワクチン被接種者ではたった8例の発症者しかいなかった。

 ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクがどれだけ減少したかを示す有効率は、本来、単純な人数の比較だけでなく、各々の被接種者の接種後の観察期間などを調整して計算するものであるが、今回のワクチンは大雑把にいえば、いずれも95%程度発症者を減少させることができたというわけだ。

 このデータは、血液中の抗体などの免疫を測った結果ではなく、実際に発熱などの症状を示し、新型コロナウイルスのPCR検査が陽性だった患者を減らせたことを示したのであり、そのインパクトの大きさは測りしれない。

 ただし、この中間解析は臨床試験が始まったばかりの段階のデータであり、ワクチン接種後の観察期間は多くの被接種者で2~3カ月程度にすぎないため、この発症予防効果が長期に持続するかは今後も確認していく必要がある。また、これらのワクチンの臨床試験は、マスクの着用やソーシャルディスタンスに対する注意がなされているもとでの効果であることにも注意すべきだろう。

 さらに、多くの専門家は断言を避けるものの、これだけの発症予防効果があれば、十分、ウイルスの増殖や伝播を減少させることが期待できるだろう。一般の市民から効きが弱いと思われている「インフルエンザワクチン」でさえ、最近の研究からは、感染拡大を予防する効果はほぼ確立したものとされている。

 95%の発症予防効果を持つ新型コロナのワクチンには、ある程度、集団免疫の効果を期待してもいいのだろう。時間はかかるかもしれないが、社会全体にワクチンが行き渡れば、ウイルスの根絶は難しいかもしれないが、少なくともウイルスをコントロールしながら進む社会を目指せるはずだ。

通常の医薬品以上に厳しい
ワクチンの安全性評価

 一方で、これだけの有効率を示す新型コロナのワクチンに対して疑心暗鬼になる声も耳にする。その理由の一つには、安全性データのわかりにくさがあるのではないだろうか。数十年にわたって世界中で接種されているはしかのワクチンやBCGワクチンほど安全性の情報がないのは確かだ。しかしながら、実は、ワクチンの安全性評価は、他の医薬品の臨床試験以上に慎重な評価がなされている。

 例えば、今回のファイザー・ビオンテック、モデルナの両社のワクチンはこの短期間のなか、臨床試験だけで数万人以上に接種され、その副作用がフォローされている。通常の医薬品は、多くの人が毎日内服する降圧薬のような生活習慣病の薬でも、販売前はせいぜい数千人のデータがあれば多い方だ。たった2回しか接種しない薬に対して、数万人をフォロー可能なのは「安全」に加えて「安心」を担保するデータが必要なワクチンならではだ。

(出所)筆者作成 写真を拡大

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