2024年3月4日(月)

Wedge REPORT

2021年2月19日

 しかも、プラセボを接種しているグループとワクチンを接種したグループを比較することで、その副作用がワクチン起因によるものかについて比較検討が可能だ。接種直後の発熱や接種部位の腫れなど細かなデータについても、数千人の規模で日誌形式のデータが各々のワクチンで収集されて、ほとんどの副作用が軽度であることが確認されている。

 加えて、試験がおわり国民に接種された際の副作用のデータも、世界中で刻々と集められ対策がなされている。例えば、米・疾病対策センター(CDC)によれば、ファイザー・ビオンテックのワクチンの接種後、高度のアレルギー反応が初回接種189万3360回中21件報告されており、71%が15分以内であったという。

 日本でも接種直後はアレルギー反応に注意して接種会場で待機することになりそうだが、100万人あたり11例の事象にも対応できる体制を整えておくことが欠かせない。副作用の情報は注意してみておく必要があるが、その発生数だけでなく頻度についても十分理解しておくことが必要だろう。

 とはいえ、早期に新型コロナをコントロールする社会を実現するには国民にワクチンを行き渡らせることが重要だ。そこで課題となるのがロジスティクスである。

ワクチンを行き渡らせる
ロジスティクスが課題

 このワクチンは感染伝播の抑制、つまりワクチンによる集団免疫の達成ができる可能性がある。無論、現時点では、この感染伝播抑制効果がどの程度あるかはわかっていないので、どの程度の接種率が必要かはわからない。はしかのワクチンで集団免疫を達成する際に求められている95%という接種率までは必要ないかもしれないが、かなりの接種率が必要だろう。いかに迅速にその接種率を達成できるかも鍵だ。

 いち早く接種の段階に進めるには、多くの資源を動員する必要がある。例えば、毎年、インフルエンザワクチンを4000万~5000万人が接種する際にも、厚生労働省が供給調整に乗り出して何とか実施している状態である。全国民をターゲットとした新型コロナワクチン接種のプロジェクトは、まさしく前人未到の規模である。

 アメリカは、ロジスティクスについてワープスピード作戦 (Operation Warp Speed)の一貫として、あたかも戦時対応のように、国防総省まで動員している。日本でも、当初からワクチンやそれを輸送・保存するための冷蔵庫の確保は、厚労省の重要なミッションとなっていた。

 しかも今回のワクチンの供給・接種体制の確立の難しさは、インフルエンザワクチンの比ではない。今回、ワクチンの保存には冷蔵庫どころか、一般には実験室でしか使わない極めて低温の冷凍庫が必要だ。mRNAは熱に弱く、マイナス60℃~80℃の低温で保存しなければならない。それは輸送の間も変わらない。

mRNAワクチンはマイナス60℃〜80℃の低温で輸送・保存しなければならない (BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

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