2024年12月2日(月)

オモロイ社長、オモロイ会社

2021年7月24日

☆オモロイポイント(今回のあらすじ)
・カームテクノロジー(穏やかなテクノロジー)ってどんなテクノロジー?
・カームテクノロジー 世界の状況、日本にポテンシャルがある?
・世界から注目されているmui Lab株式会社 2年連続CESで評価を受けている
・米国駐在員時代の新規事業でMBOへ
・世界各地にいるmui Labのメンバー
・京都から世界へ カームテクノロジーの社会実装へ

 DX、オンライン〇〇、SNSという単語を仕事上、プライベートともに耳に入ってこない日はない毎日。我々の「目」は起床時から確実に情報端末からある意味離れられないことが日常となっています。一説には、この地球上に300億台の情報端末が存在すると言われ、1人当たり平均4台の端末を持っていることになるそうです。

 溢れかえった情報端末はますます増加し、デジタル化の波は止めようもなくますます進化の一途でありますが、一方で、人が人らしい生活をすること、自然との調和の中で暮らすことの大切さ求めようとする動きもあります。その部分での先端的テクノロジーが「穏やかなテクノロジー」と言われる、Calm Technology(カームテクノロジー)そこにデザインの設計思想を織り交ぜながら京都発のスタートアップ企業がmui Lab社、世界からも注目されている同社について代表の大木和典さんに話を聞きました。

カームテクノロジー(穏やかなテクノロジー)ってどんなテクノロジー?

 大木さん、mui Lab社が提案する近未来について、同社が制作した1分30秒ほどの動画をご覧ください。

 この動画を視聴して、人が人らしく生きている、情報端末が人に優しい状態を醸し出しいると感じます。

 大木さんによれば、ユビキタス社会とは「いつでも・どこでも・何でも・誰でも」がコンピュータネットワーク、インターネットをはじめとしたネットワークにつながることで、様々なサービスが提供され人々の生活をより豊かにする状態のことです。そして、社会や生活の至る所にコンピュータが存在しており、 ユーザーがコンピューターの使用を意識することなく、いつでもどこでも情報にアクセス できる環境のことをユビキタスコンピューティングと言います。

 このユビキタスコンピューティングのためには、コンピューターは、「カームテクノロジー」を備えていなければならないと、コンピューター学者のマーク・ワイザー氏とジョン・シーリー・ブラウン氏が1990年代に論文として提唱したそうです。

「カーム・テクノロジー」の8つの原則

  • テクノロジーが人間の注意を引く度合いは最小限でなくてはならない
  • テクノロジーは情報を伝達することで、安心感、安堵感、落ち着きを生まなければならない
  • テクノロジーは周辺部を活用するものでなければならない
  • テクノロジーは、技術と人間らしさの一番いいところを増幅するものでなければならない
  • テクノロジーはユーザーとコミュニケーションが取れなければならないが、おしゃべりである必要はない
  • テクノロジーはアクシデントが起こった際にも機能を失ってはならない
  • テクノロジーの最適な容量は、問題を解決するのに必要な最小限の量である
  • テクノロジーは社会規範を尊重したものでなければならない

 上記はアンバー・ケース著、mui Lab監修、『カーム・テクノロジー 生活に溶け込む情報技術のデザイン』(BNN 2020年)より引用。

 ここ最近よく耳にする、「デジタルデトックス」も行き過ぎた目のハッキングから人を解放していこうとするもの。1人の人間が3、4台の情報端末に目の注意を持っていかれていること自体が人間にとっては異常事態と話す大木さん。元々パーソナルコンピュータが誕生した際の設計思想が、いかに人間の目を端末に注目させるか? ということがスタートとなっており、いたし方ない場面もある。しかしこれからの時代は、情報端末が「適切」に存在し、人に害を与えない存在の仕方を追求するカームテクノロジーが必要だと話します。

 まさに増え過ぎた害悪に気付き始めた揺り戻しと感じます。

 ここ最近、Apple /Google / Instagram/Youtubeなどはスマホ機能、またはアプリのいいね表示や休憩を促す表示にて、すでにカームテクノロジーを取り入れ出しているそうで、Apple のScreen TimeやGoogle Digital Wellbeingはその代表例だそうです。

世界から注目されているmui Lab株式会社

 50年以上続く世界最大のテクノロジー展示会といえば、CES、この展示会で2年連続評価を受けたのが、mui Lab社。2019年には、CES 2019 INNOVATION AWARDを受賞しています。展示会のサイトでも見ることができます。サイトはこちらから。

Smart Home

mui is an IoT interface device designed to bring a sense of nature and peace into today’s digital living.The new lifestyle that mui promotes focuses on harmony among technology, people and nature.

 とスマートホームの分野での表彰。続いて2020年でも、世界最大のインテリア雑誌House Beautiful誌が選定した、The Best Home Tech from CES 2020において15社選定の1社に選ばれました。

 ちなみに2019年、2020年表彰となったのは日本社ではmui Lab社のみ(対象は部門は異なります)。表彰対象ではありませんが、アメリカのIT分野に特化したメディア企業である、CNET社の記事では、The 5 biggest tech trends from CES 2020と5つの目新しいトレンドのうち、トヨタと並んでもう1社の日本社として掲載されています。

 CESだけでの評価のみならず、すでに、IKEA、フォルクワーゲン、SAPと世界的企業から声がかかる状況になっているmui Lab社。海外ではカームテクノロージーに対してかなり進んでいる状況を感じている大木さん、特に自宅にいる環境では情報端末を見ない、手に取らない環境創出が日本に先んじていると見ています。

 一方、古来から日本が持っている文化や風習を言語化し、カームテクノロジーの思想に統合することで、情報技術のデザイン性をさらにアップグレードする可能性も感じています。例えば、止め石や屏風。止め石は、立ち入り禁止を表し、屏風は死角、緩やかな区切り、見えない部分を創出する。入るな、見るなという直接的で周囲のデザイン性に調和しない手法で訴えるのではなく、さりげなく、ストレスを与えることなく、気づきを与えてきた日本文化はカームテクノロジーに通じるポテンシャルを持っていると胸を張ります。

 世界を相手にしていこうとするmui Lab社には多様な人材が集っています。

 元Appleのデザイン責任者(Don Lindsay氏)、元SONYでソニーエリクソンなどさまざまな事業カテゴリーでデザイン責任者を歴任し、現在京都芸術大学教授、元アップル副社長(前刀氏)、元版のカームテクノロジー著者(Amber Case氏)と錚々たる方々を Adviserに迎えています。特にAmber Case氏は書籍:「Calm Technology」の著者であり、この日本語版「カーム・テクノロジー( 生活に溶け込む情報技術のデザイン)」は、大木さん始め、CTOの佐藤宗彦、ブランドマネージャーの森口明子が監修と、mui独自の理念を寄稿しているものです。

 京都本社に中枢メンバーは集まっていますが、国内では、東京(営業・デザイナー)、長野(エンジニア)、海外拠点としてドイツ(事業開拓/営業)にも点在し、多様な人材がそれぞれの目的と役割を果たす形で会社運営をしています。


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