今回のポイント
- たった3カ月で中小企業から総務部、経理部がいらない体制を構築する。
- 基本ルールは同じはず、必要でもないのになぜか複雑化、仕事化している、総務経理そこにメスを。
- 第三者が入ることで社内の風通しが良くなる場面も。
- 圧倒的なデジタル化に向かうものの100%フルデジタル化は無理、人は必要。
- 4カ月で銀行員を卒業、起業を目指す。26歳で独立開業、現在33歳。
- 香川で開業、HPなし、口コミ・紹介のみで300社(北海道〜沖縄)と契約。
- 外貨を稼ぎたい、日本のために。29歳で豪州で会社設立。
中小企業における総務・経理業務(バックオフィス業務)、月末や決算期の繁忙期、それにともない恒常的な残業、人員の疲弊、退職、補充のための採用活動、そしてまた教育など、総務経理業務の専門性の高い人材採用コストは高く付く。このような連鎖が全国あちこちで発生していると聞きます。そもそもその業務は必要なのか? その業務の棚卸しを何年、場合によっては年十年も、見直しがされず、加えて古参社員による囲い込みで不透明な仕事、伝えづらい、伝わらない業務をデジタル化し、経理業務のみならず総務業務もアウトソースで引き受けるJ.Forceアウトソーシング川西康太さんに、昨今の中小企業での変化、川西さんの起業に至る経緯を聞きました。
4カ月で銀行員を卒業 実家の状況を見て世の中の課題解消を仕事に
1987年生まれ、地元香川県高松市で育った川西さん、ご実家は、お父さんが製造業の町工場を経営する社長さん、総務・経理周り行うお母さん、そんな家庭環境で育ちました。良くも悪くも幼少期より、「社員さんの労務問題から資金繰りを含めたシビアなお金の話」まで、平日や土日を問わず常に聞いてきたそうです。
小さな会社の問題点に、社内にリソースが足りない、特に総務経理に関して、専門人員が少ない、大きな会社になれば、社内のみならず、会計事務所のバックアップも手厚くなる、しかし、中小、零細企業では年中人手不足ご実家のお母さんのてんてこ舞いを見ていてなんでだろうと思っていたそうです。
大学入学で上京した川西さん、3回生の頃、その時に、未納や不正免除等々が発生していた「年金問題」、なんでこんなことが起きるのか? そんな思いから大学生の時に、世の中の仕組みや動きを知りたいと社会保険労務士資格を取得しました。
大学卒業後、一旦地元の銀行に就職するも、深刻化する人手不足、地方の中小企業の実態、過去の自分の実家の状況が重なり、サラリーマンではなく、自分の資格を生かして社会で役立てていきたいと思い、4カ月で退職、東京に戻って、大手の社労士事務所で「修行」をすることを選択しました。
4年間の「修業」を終えて、地元香川に戻って26歳で独立開業をした川西さん。その時にいくつかのことを決めて事業をスタートしました。
- 1年間やってみて、うまく行かない場合は辞めて東京にまた戻って仕事をする。
- アツい想いを語って、地元友人2名を誘い一緒に開業へ、仲間を募った。
- 士業の「先生」目線でもなく、崇高なビジネスモデルを掲げて大きな事をやり遂げるようなことをせず、地元の中小企業の「困り事」を拾い歩く、気軽に声が掛かるそんな存在を目指す。
このようなことを仲間3人で日々実践しながら、口コミや薄い人間関係から自分たちの仕事への姿勢、取り組みを訴えてきた結果、独立から6年半の現在、取引社数400社を突破エリアも北海道から沖縄に、顧客の中心は東京、全国に顧客を保有するも全て香川から対応しつつ、社員も30名、外部委託に10名、40名の仲間が集うレベルになっています。
また、現在はHPはあるものの、起業から4年半は外部への発信をあえて控えるために開設せず、「紹介」だけにフォーカスして規模を拡大していきました。
海外への展開も早い段階からイメージを持っていた川西さん、士業関連ではなかなか珍しいと感じます。「なぜ、海外?」の質問に、起業の経緯同様にご実家の家業での経験が影響しています。
製造業の町工場で、部材の輸入があったそうで、小さな頃から家庭で為替、外貨ということが会話のワードにありました。外貨を稼いで強くなった日本、家庭での会話の経験から、「いつかは海外で仕事」、「外貨を稼ぎたい」、「外貨への憧れ」から、海外での会社設立を目指します。どこに設立するか? そこには、時差が少ない、ドルと名前がつく通貨、日本より先進的な場所という観点で、オーストラリアを選定しました。
8カ月ほど地元の税理士事務所で「修行」させてもらって、法人設立にこぎ着けます。
事業の概要として、税務申告に関わる、スキャン等でデータ化された「領収証」。それを日本側でパンチングするデータエントリー業務を中心に事業を展開しています。
外貨を稼ぐというテーマは、国内においても「県外」から収益を得て、香川で雇用を増やす、納税をする。そこに香川への地元愛、意識を感じます。