引き継がれていく
〈絆いわて ふるさとは負けない!〉キャンペーン
「ふるさとは負けない!」というキーワードは、岩手県で生まれ育った2人の局員が考えついた。キャンペーンはラジオやテレビの放送活動だけではなく、前述のように募金や朗読会、「被災地にラジオを送ろう」キャンペーンでも展開された。同局報道部長の眞下(まっか)卓也は、いずれも日常の放送・事業活動の延長であり特に目新しいものはない、とこう話している。
「募金活動は緑のおよび赤い羽根募金を毎年行っていますし、朗読会も地道に続けてきました。被災地にラジオを送る活動では、大分や長崎、福岡、名古屋などの系列局の協力を得ましたが、これも日常的な関係があればこそ展開できたものです」
〈絆いわて ふるさとは負けない!〉キャンペーンは、毎日のローカルニュースや毎週土曜日の2時間近い情報番組『じゃじゃじゃTV』に引き継がれると同時に、岩手県出身の著名人が来県すると放送番組出演やさまざまな活動参加に引き継がれている。
60年近い放送で培った蓄積に新たな媒体が加わる
ラジオ開局から60年近く、テレビ開局53年の歴史と伝統が非常時に力を発揮する一方で、被災・復旧情報を届ける有力なツールとしてその機能を発揮したものもある。ツイッターやユーストリームなどのソーシャルメディアだ。
同局が昨年12月に刊行した『絆いわて ふるさとは負けない!~3・11東日本大震災の放送記録』は、〈クロスメディアはどう伝えたか〉と題する1章を設けている。その中でツイッターの活用が始まった経緯についてこう書かれている。
〈番組PRに使うべく、前年のラジソン(ラジオ・チャリティ・ミュージックソン=筆者注〉でのテスト活用を経て、2011年2月28日の経営会議でツイッターの運用が正式に承認されたばかりだった。〉