2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月29日

カナダの情報機関出身で台湾在住ジャーナリストのコール(Cole)が、Diplomat誌ウェブサイトに10月8日付で掲載された論説で、韓国は、ミサイルの射程を800キロに伸ばし、また、短距離ミサイルのペイロードを増加することについて、米国と合意したが、それが北朝鮮に対する抑止力となると言うならば、米国は、台湾に対しても同様の考慮を払うべきである、と論じています。

 すなわち、台湾のミサイルについても、米国は、韓国のミサイル同様、紛争をエスカレートさせる危険を抑えようとして来た。陳水扁のころには、台湾のミサイルは、中国の都市や三峡ダムにも使えるということで物議をかもしたことがあったが、それ以来台湾の軍は、台湾のミサイルは中国の軍事力のみを目標とするものであると言っている。しかし、その後も台湾のミサイル能力は増強され、敵の空軍基地、港湾、ミサイル基地、レーダーなどを標的にしている。

 韓国でも台湾でも、米国の目的は、それぞれに地域における緊張がエスカレートしないように、ミサイルの能力を抑制することにあった。しかし、もし今回の措置で、北朝鮮が隣国の強化されたミサイル脅威の下に生き、それを抑止力と思うようならば、米国は、台湾にも同じような配慮をしても良いのではないか、と論じています。

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 米国が台湾のミサイルの能力について如何なる規制をかけているのかの現状は、この論文では明らかではありません。したがって、特に何を緩和せよと言っているわけではなく、台湾による中国本土の核施設攻撃能力については、米国側はかつて懸念を表明したことがあったが、それが、韓国の対北朝鮮抑止力と同じように、対中抑止力になるというのならば、問題にしなくても良いのではないかと言っているわけです。


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