2024年11月22日(金)

子ども・家庭・学校 貧困連鎖社会

2012年12月3日

 東京都の区部ではこの20年で大きな変化がみられる。

 台東区は11.1%→39.5%、渋谷区13.2%→33.3%のような大きな変化があった区もあるが、17.8%→17.1%と減った目黒区のようなケースもある。もっとも就学援助率が低い千代田区は0.9%から8.6%と東京都23区内では就学援助率は低いが、増え方は10倍と、一見豊かな地域と思われている地域でも、貧困と無縁ではないことを示している。

 大阪市では、公立中学校の就学援助率は37.9%(2010年度)。同時に、筆者が驚いたのは、生活保護の1.0倍という認定基準の厳しさである。全国的には、多くの自治体が1.1~1.3倍という認定基準を設定しているが、大阪市はもっとも厳しい。生活保護世帯より貧しくなければ就学援助は受けられず、その世帯が大阪市では公立中学校に通う生徒全体の37%を超えるという。

 大阪府内(政令指定都市である大阪市と堺市を含む)の公立小・中学校に通う生徒の就学援助率も、2011年度では、27.4%(19万2千人、府下の小中学校の全児童生徒数は70万人)であった。大阪市内では、公立小中学校に通う子どもの3人に1人、大阪府全体でみると4人に1人以上が生保世帯とほぼ変わらない貧困状況で暮らしている。   

就学援助率にも格差があってもいい?

 自治体ごとの就学援助率や認定基準に以上のような格差があるままでいいのだろうか。

 就学援助制度には、全国で共通の認定基準や申請方法、給付内容が定められていない。就学援助制度の広報の方法ひとつをとっても、毎年度すべての保護者に案内をしているところもあれば、新入生にだけ案内する、自治体の広報誌で行なっているところ、広報をまったく行っていないところなど、様々である。


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