2022年7月7日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月6日

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 第3に、米国が引いた後、経済を誰が支えるのかというのも大きな問題である。アフガニスタンは今や財政崩壊の高まるリスクに直面している。過去20年間、アフガンの合法経済のほぼ半分は外国援助であった。しかし、外国からの援助は減り続けている。例えば、2020年末のジュネーブでの外国援助国会合は、次の4年間にアフガンに120億ドルの供与を約束したが、これは直前の4年より20%減であった。また、資金供与の条件には人権状況の改善も含まれるが、タリバンが実権を握ったとして、それをクリアできるかが問われる。

 そして、タリバンの主たる収入源は麻薬である。6月の国連の報告によれば、タリバンの財政は、麻薬の生産と取引、恐喝、誘拐の身代金、鉱物資源の販売などの犯罪行為からなっており、タリバンのこれらの活動からの収入は年3億ドルから16億ドルになると推計される由である。

安保理制裁と経済危機の行方は

 さらに重要なことには、タリバンはテロに加担した容疑で国連安保理の制裁対象になっている。中露がタリバン政権とそれなりの関係を作ろうとする動きは今後ありうるが、この問題を処理しないと、中露も動けない面があると思われる。しかし、安保理制裁を見直す話は簡単に進む話ではない。援助団体やNGOも、制裁がある中、アフガンで活動するには困難がある。

 タリバンが現実的になって、国内政治では和解と諸民族の挙国一致内閣を作る方にかじを切ってくれれば、国際社会も役割を果たしうるが、タリバンが政権を独占し、麻薬を輸出するのが主たる生業というのではどうしようもない。経済の半分を支えていた外国援助がなくなり、自分の資金へのアクセスも制裁でできないというのでは、相当につらい。アフガンは、経済危機、人道危機に陥る可能性がある。

  
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