世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月14日

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米国とは安全保障、中国とは経済という関係性

 インドネシアと中国の関係は主として経済である。まず貿易であるが、インドネシア政府統計によれば2020年でインドネシアの輸出の相手国の1位は中国で、輸出額は299.3億ドルであった。2位が米国で、186.2億ドルであった。ちなみに3位は日本で128.8億ドルとなっている。

 20年のインドネシアの輸入の相手国の1位も中国で輸入額は524.7億ドルであった。2位は日本の499.5億ドル、3位はタイの29.6億ドルで、米国はこれより少ない金額であった。

 インドネシアと中国との経済関係で注目されるのはジャカルタ・バンドン間の高速鉄道の建設である。全長142キロで、18年6月に全面着工され、一帯一路の重点プロジェクトとして位置づけられている。高速鉄道の技術、設備、施工などの部分はいずれも中国の国有鉄道会社である中国国家鉄路集団が主導する中国企業連合体が深く関わっている。5月18日の新華社の報道では、土木工事の83%が完了したとのことである。

 インドネシアにとっては、協力する分野が、米国とは安全保障、中国とは経済と異なっており、等距離政策をとる必要はないはずである。

 ラクシュマナは、「ASEANは、その極めて遅い政策決定と加盟国の利害の大きな相違のため、南シナ海からミャンマーに至るまでの戦略的な危機と問題によって、より速い反応とより強力な解決が必要な時、役に立たない。インドネシアはその代わり、豪州、インド、日本、韓国のような考えを同じくする中級国家と積極的な地域の秩序の管理のための柔軟な連合を真剣に考えるべきである」と指摘している。

 これは全くその通りで、インドネシアは日本にとって、特に自由で開かれたインド・太平洋の確保に関して重要な国であり、関係の一層の強化に努めるべきである。

  
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