硝子(エライザ)の2人目の友人になったのは、万場木留美子(まんばぎ・るみこ、吉川愛)だった。ちなみに、吉川は高校生役に近い年齢の21歳である。「映画 秘密のアッコちゃん」(2012年、川村泰祐監督)では、主役の綾瀬はるかの少女時代を演じた。少女が娘役になって、再デビューしたのを観るのも楽しい。
留美子(吉川)は、中学時代の親友とは別の高校に入学し、クラスにもなじめない。「ヤンキー」風の化粧をしているが、硝子(エライザ)と同じ「コミュ症」である。昼食の弁当は、トイレに閉じこもって食べ、昼休みは机に突っ伏して、眠くもないのに寝たふりをしている。
「このまま3年間、友だちができないままに終わってしまうのかなぁ」と、留美子(吉川)は思った瞬間、気分が悪くなって廊下で吐いてしまう。それを見つけた、仁人(増田)は、硝子(エライザ)に彼女を保健室に連れて行ってくれるように、頼むのだった。
「よるドラ」シリーズを彩る
留美子(吉川)は、硝子(エライザ)にこういう。「どうしたのか、聞かないんだね」。硝子は、ただ聴けないだけだったのだが。「本当はね、トイレなんかに逃げ込みたくないし、みんなと一緒に昼ごはんが食べたいよ」
硝子(エライザ)は、「わたしでよければ」と、スケッチブックに書いてみせる。留美子(吉川)は、そのスケッチブックを渡してもらって、「わたしなんかで、よかったら」と。
仁人(増田)と硝子(エライザ)は、友人から恋人どうしになれるのだろうか。
仁人(増田)の幼馴染で、同級生の長名なじみ(おさな・なじみ、ゆうたろう)が、警告する。
「『古見さま』に近寄っては、危ない。『馬のフン以下の身のほどしらずのカス野郎』といわれるよ」
仁人が、登校すると、硝子がたったひとりで教室に待っていた。ガラケイの携帯を出して、仁人の携帯番号を入力したい、というのである。最初の友人として。
本作の原作は、オダトモヒトのコミック。ドラマは「実写版」ともいえる。テレビ東京が10月から、アニメ版を放送する。ほとんど同時期に並ぶのは、珍しい。原作のファンにとってはたまらないところだろう。
「よるドラ」シリーズは、1回30分。深夜枠のなかで、観るものが集中できるてごろな時間である。原作にコミックばかりではなく、エッセーなどもあって、若者ばかりではなく、シニアも気楽に楽しめるところがいい。「植物男子ベランダー」(2018年)、「腐女子、うっかりゲイに告る。」(2019年)、「彼女が成仏できない理由」(2020年)――筆者が、楽しんだ作品の数々。今回、このシリーズの作品を紹介できたのが、ちょっとうれしい。