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田部康喜のTV読本

2021年9月17日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 硝子(エライザ)の2人目の友人になったのは、万場木留美子(まんばぎ・るみこ、吉川愛)だった。ちなみに、吉川は高校生役に近い年齢の21歳である。「映画 秘密のアッコちゃん」(2012年、川村泰祐監督)では、主役の綾瀬はるかの少女時代を演じた。少女が娘役になって、再デビューしたのを観るのも楽しい。

 留美子(吉川)は、中学時代の親友とは別の高校に入学し、クラスにもなじめない。「ヤンキー」風の化粧をしているが、硝子(エライザ)と同じ「コミュ症」である。昼食の弁当は、トイレに閉じこもって食べ、昼休みは机に突っ伏して、眠くもないのに寝たふりをしている。

 「このまま3年間、友だちができないままに終わってしまうのかなぁ」と、留美子(吉川)は思った瞬間、気分が悪くなって廊下で吐いてしまう。それを見つけた、仁人(増田)は、硝子(エライザ)に彼女を保健室に連れて行ってくれるように、頼むのだった。

「よるドラ」シリーズを彩る

 留美子(吉川)は、硝子(エライザ)にこういう。「どうしたのか、聞かないんだね」。硝子は、ただ聴けないだけだったのだが。「本当はね、トイレなんかに逃げ込みたくないし、みんなと一緒に昼ごはんが食べたいよ」

 硝子(エライザ)は、「わたしでよければ」と、スケッチブックに書いてみせる。留美子(吉川)は、そのスケッチブックを渡してもらって、「わたしなんかで、よかったら」と。

 仁人(増田)と硝子(エライザ)は、友人から恋人どうしになれるのだろうか。

 仁人(増田)の幼馴染で、同級生の長名なじみ(おさな・なじみ、ゆうたろう)が、警告する。

 「『古見さま』に近寄っては、危ない。『馬のフン以下の身のほどしらずのカス野郎』といわれるよ」

 仁人が、登校すると、硝子がたったひとりで教室に待っていた。ガラケイの携帯を出して、仁人の携帯番号を入力したい、というのである。最初の友人として。

 本作の原作は、オダトモヒトのコミック。ドラマは「実写版」ともいえる。テレビ東京が10月から、アニメ版を放送する。ほとんど同時期に並ぶのは、珍しい。原作のファンにとってはたまらないところだろう。

 「よるドラ」シリーズは、1回30分。深夜枠のなかで、観るものが集中できるてごろな時間である。原作にコミックばかりではなく、エッセーなどもあって、若者ばかりではなく、シニアも気楽に楽しめるところがいい。「植物男子ベランダー」(2018年)、「腐女子、うっかりゲイに告る。」(2019年)、「彼女が成仏できない理由」(2020年)――筆者が、楽しんだ作品の数々。今回、このシリーズの作品を紹介できたのが、ちょっとうれしい。

  
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