2024年11月22日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2021年10月20日

エネルギー政策を
「政争の具」にするな

 在任中、積極的な脱炭素政策を主導し、報道番組で「おぼろげながら『46』という数字が浮かんできた」と語っていた小泉進次郎前環境相は10月1日、岸田文雄新政権の発足に伴う今後の脱炭素政策の見通しを聞かれ「(巻き返しが)それなりにあるだろう。それが権力闘争の現実だ」と述べた。

 国家安全保障上、最上位に位置付けるべきエネルギー政策を、権力闘争の一環とするかのようなこうした発言は、厳に慎まれるべきであり、ましてその発言をしたのが、閣僚経験のある政治家であれば国民を失望させる。

 船出直後の岸田新政権には、早速胆力を問われる重要局面が訪れる。10月末から英国・グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)だ。日本は先進国として気候変動対策で他国に後れをとるべきではない。また、実行する政策が目標の達成に寄与するという一定の根拠を用意する必要もあろう。

 岸田首相には、世界潮流を踏まえた国際感覚と、長期展望に立った日本の国づくりという〝バランス感覚〟が求められる。エネルギー政策はその試金石とも言えるものであり、決して「政争の具」にしてはならない。

 以降のPARTでは、そうした視点から日本の脱炭素政策の課題や懸念を検証し、島国であり資源小国でもある日本にとって真に必要なエネルギー政策を提言していきたい。

 Wedge11月号では、以下の​特集「脱炭素って安易に語るな」を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンでお買い求めいただけます。
■脱炭素って安易に語るな
PART1 政治主導で進む脱炭素 日本に必要な〝バランス感覚〟
編集部
PART2 おぼろげな46%減を徹底検証〝野心的〟計画は実現なるか
間瀬貴之(電力中央研究所社会経済研究所主任研究員)
永井雄宇(電力中央研究所社会経済研究所主任研究員)
PART3 高まる国家のリスク それでも再エネ〝大幅増〟を選ぶのか
山本隆三(常葉大学名誉教授)
PART4 その事業者は一体誰?〝ソーラーバブル〟に沸く日本
平野秀樹(姫路大学特任教授)
PART5 「バスに乗り遅れるな」は禁物 再び石油危機が起こる日
大場紀章(ポスト石油戦略研究所代表)
PART6 再エネ増でも原発は必要 米国から日本へ4つの提言
フィリス・ヨシダ(大西洋協議会国際エネルギーセンター上席特別研究員)
PART7 進まぬ原発再稼働 このままでは原子力の〝火〟が消える
編集部
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Wedge 2021年11月号より
脱炭素って安易に語るな
脱炭素って安易に語るな

地球温暖化に異常気象……。気候変動対策が必要なことは論を俟たない。だが、「脱炭素」という誰からも異論の出にくい美しい理念に振り回され、実現に向けた課題やリスクから目を背けてはいないか。世界が急速に「脱炭素」に舵を切る今、資源小国・日本が持つべき視点ととるべき道を提言する。


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