2024年4月24日(水)

21世紀の安全保障論

2021年11月4日

日本は公海を〝活用〟し、監視体制の強化を

 今後も中露海軍が日本の海峡を通航することが増えるとすれば、日本はこれにどのように対応するべきであろうか。端的に答えるなら、国際法上問題のない限り何もするべきではない。

 対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、大隅海峡は「特定海域」と指定されており、国連海洋法条約で許される12海里(約22㌔メートル)の領海を宣言せず、3海里(約5・5㌔メートル)に留めているため、中央に狭い公海が存在する。

 今回、中露艦隊はそこで公海の自由を実践したに過ぎない。ただし、監視は必要であるし、実際に自衛隊はしっかりと監視をしていた。平時には「監視」し、有事には「封鎖」できる能力を維持していれば問題はない。

 一部には、これら特定海域をすべて領海にするべきとの議論があるが、仮にそうした場合、これらの海峡は「国際海峡」と位置づけられ、狭い公海部分が消滅し、外国艦船は海峡のどこでも潜水艦の潜航や上空飛行が認められることになる。それは、平時の監視を難しくしてしまう。

 そもそも「特定海峡」が設定されたのは、冷戦時代に米ソの核搭載艦船がこれらの海峡を通航しても非核三原則の「(領海に)持ち込ませない」に抵触することを回避するためだったと考えられている。しかし、現代でも国際航行の自由を促進するという観点から公海部分を残しておくことには意味はある。そうであれば、中露艦隊の自由な航行も認めるべきなのである。

日本も航行権を行使し、中露の「二重基準」阻止を

 一方、中露が日本周辺で航行の自由を実践できるのであれば、日本も中露の周辺海域で航行権を行使するべきである。中露が「特定海峡」のような狭い海域を通るのであれば、海上自衛隊がより広い台湾海峡を通航することを躊躇する理由はない。また、ロシアはウラジオストク沖のピョートル大帝湾を内水と位置づけ、外国艦船の航行を制限しているが、国際法上の根拠は認められない。海上自衛隊はピョートル大帝湾でも航行の権利を行使するべきである。

 海洋国家である日本にとって、航行の自由は死活的に重要な利益である。中露のように自らの近海では外国軍艦の航行の権利を妨害しながら、他国の海域では航行の自由を満喫するような二重基準を認めてはならない。日本は米国やその他の海洋国家と連携して中露の二重基準を否定し、自由な海を守っていくべきなのである。

   
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