2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2012年12月28日

韓国大統領選史上最大の
支持を得て就任する朴槿恵

 衆院選の3日後に行われた韓国大統領選では、セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)氏が民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏を押さえて当選した。当初、大接戦で、投票率が上がると朴氏に不利になると予想されていたが、75.8パーセントという、前回の2007年と前々回の2002年を上回る高い投票率の中、文氏に100万票以上の差をつけ、1500万を超える票を獲得した。(相対)得票率も51.6パーセントで、民主化以降、6回目の大統領選ではじめて半数を超えた。さらに、棄権者も含めた全ての有権者のうち、朴氏に投票した絶対得票率も39.1パーセントで、この値も最も高い。つまり、朴氏は、絶対的にも相対的にも、これまでで最も多くの有権者から支持されて大統領に就任するのである。

 しかも、国会ではセヌリ党が過半数を占め、大統領と国会が「ねじれ」ていない「統合政府(unified government)」である。大統領選に先立ち4月に実施された総選挙では、与党議員は朴氏のおかげで当選できた、といっても過言ではない。政権末期を迎えていた李明博(イ・ミョンバク)大統領に対する支持率が低迷していたにもかかわらず、朴氏の主導の下、新しい綱領とともにハンナラ党から生まれ変わったセヌリ党は、野党の民主統合党以上に現職大統領に対する批判票の受け皿となった。次の総選挙は2016年4月で、2013年2月25日に大統領に就任すると、向こう3年間は国政選挙がない。

 韓国の大統領は、内政においても外交においても強い憲法権限を有しているが、国会で十分な勢力を有していないか、与党を統制できないと、自らの政策アジェンダを思い通りには遂行できない。朴新大統領の場合、いずれの点においても、強いリーダーシップを発揮できる条件が整っている。

常に先を読み、
「今」の行動を選択する朴の戦略的思考

 そもそも、朴新大統領ははるか先まで見通しながら、「次」に向けて忍耐強く備えてきた政治家である。前回の大統領選で、ハンナラ党の党内予備選挙で李明博氏に僅差で負けた2007年8月20日、その瞬間に、5年4カ月後、2012年12月19日の今回、雪辱を果たすことに全ての照準を合わせて、その後の行動を選択してきた。選挙キャンペーン中も、当選後も、朴氏は李大統領に事実上一度も協力せず、その主要な政策アジェンダにことごとく反対し、「与党内野党」を貫いてきた。だからこそ、有権者も、朴氏のセヌリ党は李大統領のハンナラ党とは異なるものとして認識し、総選挙に続いて大統領選でも、「与党」、いや、朴氏の「新党」、さらには朴新大統領に向けた「新与党」を支持した。


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