2024年3月4日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月15日

 去る9月にガスプロムとの供給契約が失効した後、ガス供給は3分の1削減され同国は危機に陥った。一方で、ガスプロムは親欧州連合(EU)の政権に対し親EUの政策の放棄(EUとの連合協定の改訂やEUに倣ったガス市場の自由化を遅らせること)を要求した模様である。モルドバがどういう譲歩をしたのかは不明であるが、10月29日に5年の長期契約が成立した。

ドイツが求めた条件とは

 バイデン政権には(制裁法がどうなるかは別として)制裁を発動するつもりはなさそうである。しかし、パイプライン稼働の目途は未だ立っていない。ところが、冒頭で述べた通り11月16日、ドイツの規制当局は同パイプライン稼働に必要な認証手続きを一時停止することを公表した。

 具体的には、ドイツの規制当局は、(1)ノルド・ストリーム2事業会社を「独立した供給事業者」として認証する手続きを停止する、(2)この事業会社はパイプラインのドイツ部分を管理するドイツ法に基づく子会社を設立する予定であるが、この子会社が「独立した供給事業者」の要件を充たす必要がある、(3)この子会社からの必要書類の提出を待って認証手続きを再開し、決定案を得て、EU法に従い欧州委員会の意見を求める旨を公表した。

 認証手続きが再開されれば、ドイツの規制当局はEUのガス指令が規定する要件が充たされているかを審査することになる。ガス指令については(ノルド・ストリーム2事業会社がその適用免除を求めてEU裁判所で争っている事情はあるが)、(1)ガスの供給と輸送を分離すること、(2)ガス輸送のためにパイプラインを第三者の利用に解放すること、という2つの要件が問題となる。因みに、ドイツは米独共同声明でこれら2要件を確保することにコミットしている。

 従って、ガスプロムが、要件を充たすため、企業の構造とビジネスモデルを如何に柔軟に適応させることができるかが焦点となろう。適応し得ず、稼働が遅れたり頓挫するのであれば、西側にとって最も都合の良い解決になるように思われる。

   
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