2024年12月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年12月24日

中国も食指を動かす太平洋島嶼地域

 太平洋島嶼地域の戦略上の重要性は一層増大している。恐らく中国は斯かる重要性を十分認識の上、これらの国々との関係強化に努めているのであろう。何れ中国が南シナ海でやっているような軍事化を太平洋の中心で行うような事態になれば、それは危険である。

 太平洋にはグアム、ホノルル、クワゼリンなど米軍の戦略的施設があり、太平洋は米国が圧倒的なプレゼンスを確立している空間である。更に今後の宇宙戦争を有利にするためにも太平洋の空間確保や施設設置は重要と中国が考えているとしても不思議ではない。中国による本格的な太平洋進出は、米国のインド太平洋戦略を大きく複雑化させる。

 12月9~10日に開催された、米国主催の「民主主義サミット」には多くの島嶼国が招請されたことが注目される(フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ)。そこに米国の国防上の強い危機感が表れているようだ。

 日米豪欧州などが改めて太平洋島嶼国、太平洋水域の重要性を認識、確認することが重要である。なおインド洋では米中がセイシェルに注目していると言う。地政学の舞台は益々大陸から大洋のオープン・エリアに拡大している。

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