12月11日付英Economist誌が「もし米国が引き揚げれば、世界はもっと危険になる。他の民主主義国はそれに備え始めなければならない」との社説を掲載し、米国の役割縮小が世界に及ぼす影響を論じている。
エコノミスト誌の社説は、米国が戦後皆に適用されるルールに基づく世界秩序を作り上げてきたことを称賛し、米国の力が相対的に衰退している中で、他の民主主義諸国がもっとその秩序維持のために努力すべきであると論じている。その通りであろう。
国際政治はパワー・ポリティクスの面があるが、これは弱肉強食の無秩序につながりかねない。国内政治における法の支配同様、強いものも弱いものも共通のルールに従うこと以外に国際政治での秩序は存立しえない。
世界最強の国、米国が共通のルールに基づく国際秩序を推進する理念に立ったことが、戦後の世界を権力政治のみの無秩序から救い、国際社会にある程度の安定と繁栄をもたらしてきた大きな要因ではないかと考えられる。
米国はまだ世界最強の国であるが、相対的にその力が落ちていることは否めない。中国が、21世紀に入り、経済的、軍事的に国力を伸ばし、米国を追いつき追い越せの勢いで台頭してきた。
今では、技術的にも、米国と一、ニを争うまで成長した。その中国は、かつては「経済成長すれば民主化する」、「一国二制度のもと香港の民主化が中国にも波及する」などと言われていたが、それらが幻想であったことは現実が証明している。