2024年2月21日(水)

都市vs地方 

2021年12月30日

 そこで以下では、地方から東京圏への人口移動についてみてみたい。今年9月に内閣府が発表した報告書「地域の経済2020-2021」(以下内閣府報告書)では、「地方への新たな人の流れの創出に向けて」というテーマで、これまでの東京圏への人口移動の状況が取りまとめられている。これによれば、1950年では東京圏の全国人口に占める割合は15.5%であったが、19年には29.1%と大きく増加していることが分かる。

 この内閣府報告書では、東京圏の人口増減を出産や死亡による変化(自然増減)と、他の地域や外国との転入・転出による変化(社会増減)に分解し、人口比率の増加要因を検討している(表1)。その結果、1950年から60年にかけての人口増加率36.9%の内訳は、社会増が23.3%とかなり大きく、自然増は13.6%であった。

 

 その後、東京圏の人口増加率はプラスが続きながらも低下し、1970年から90 年代では、自然増の比率の方が社会増よりも大きかった時代もみられた。そして直近の2015年から19年にかけては、東京圏の自然増はマイナスを記録し、社会増によって人口増加が継続していることを示している。

 いつの時代でも、社会増がマイナスを記録したことはなく、一貫して東京圏に地方から人口が流入していることは重要な事実である。

東京圏の3割近くが地方出身

 内閣府報告書では、各期間における東京圏での人口増加が社会増(人口流入)と自然増(生死の差)のどちらの要因が強いかに注目したものである。これはその期間の人口変化における人口流入、すなわちフローでの地方の重みを示すのみである。

 そこで、現住人口に占める地方出身者をストックベースで知るために、国立社会保障・人口問題研究所が2016年に行った「第8回人口移動調査」の結果を用い、現在の東京圏居住者で、出生が東京圏以外の地方出身者の割合を見ることとする。公表されている資料では年齢を有権者だけに限定できないが、現在東京圏に居住している者のうち、67%が東京圏の出生であった(表2)。

 このことから、東京圏の有権者の3割近くは地方で生まれ、流入した人であると推定される。ちなみに、東京圏以外では東北圏(=青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)出生者が5.3%と、他のどの地域ブロックよりも比率が高かった。

 この調査の結果では、15歳から29歳の都道府県間の人口移動の理由トップ3は住宅(22.1%)、入学・進学(19.5%)、職業(18.4%)である。このことから、地方で出生し、基礎教育を受けた人々が、就職や進学などで東京圏に流入し、そうした人たちが東京圏の人口の3分の1近くを占めているのではないかと推定される。なお、移動理由のうち住宅は、都心部から周辺部への住宅購入によるものも考えられる。


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