2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2022年1月1日

 その工事をきっかけに多くの人が関心を高めつつあった「抗ウイルス」を売り込んだ。新型コロナウイルスには対応できていなかったものの、水回りへの抗菌・抗カビコーティングを提案。住宅リフォームへと展開していった。

 同社は帝国ホテルといった宿泊施設や商業施設の水回りの修繕やリフォームも多く請け負っていたことから、大幅に減少しつつあった事業者向けの受注を住宅向けにシフトし、カバーしていった。21年は増収増益へと動いている。

 この売上増には、実は別の要素もある。同社は、経年劣化などで破損したバスタブなどを解体・交換せずにリニューアルできる工法「ふろいち」を技術開発していた。小林社長は起業当初からこの技術の研究開発に没頭し、一時は5000万円超の借金を抱えた。

 同社はふろいちを全国的にフランチャイズ展開しているのだが、ここに、コロナ禍で仕事を失った観光や飲食業界で働いていた人が手を上げるようになっている。住宅向けで受注していた仕事で研修を積ませ、続々と独立するようになっている。

 起業時に荒波にもまれながら築き上げていた独自技術がコロナ禍の逆風で結実しようとしている。

選択と集中を図る

 東京や大阪で大衆演劇向けをはじめとする呉服店を営むかんさい呉服の原彰希夫社長は、撤退と投資を一度に行った。店舗の閉店と新店舗開業を同時に進めたのだ。

 同社は、風神雷神図といった図柄を派手な色で一つひとつオーダーメイドしたような舞台衣装を得意としている。そうした衣装を必要とする舞台役者は、コロナ禍で、演劇の公演回数が減ってしまったり、観客に上限を設けたりするなど、購入機会が減っていた。一般の人向けも浴衣などを着るような〝特別な日〟が減り、需要は下降傾向だった。

 ただ、そのような状況になっても「来る人は来る」と、原社長は語る。いかに効率的に販売につなげるか、無駄を省いていくかがカギとなっていた。

 「新規顧客はいない状況。馴染み客中心にシフトした」(原社長)という。顧客に個別に連絡を取り、オンラインや電話で注文を受け付ける。大人数で接客する必要はなくなり、コストを抑えられる。

 そもそも原社長は起業前の呉服販売会社に勤めていたころから、自筆でお礼状を送付するなど、「お客さん」とマメに連絡をすることを得意としていた。現在の舞台衣装を事業のメインとしていったのも、客の要望に応えていき見つけた活路だった。


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