2024年11月22日(金)

ザ・ジャパニーズ3.0(昭和、平成、令和) ~今の日本人に必要なアップデート~

2022年2月3日

学校名歴ではなく学歴(学びの履歴)を親子で追求

 そんな中私が期待しているのは、AO型入試の増加である。AOとはアドミッションオフィスの略語で、試験の点数のみで合否判定するのではなく、普段の学校での成績や部活動などの課外活動の実績が考慮され、また面接やエッセイを書かせるなどして受験者の「人となり」を評価することが特徴だ。大学側は試験の点数には表れない受験生の資質を多面的に評価できるし、受験生は一発勝負の試験のプレッシャーから解放される。下の表は文部科学省の資料からの抜粋だが、AO型による合格者はここ10年で急増し、足元では全合格者の9%をAO型が占めるまでになっており、一般入試の受験者数は約10ポイント減少している。世の中の変化に呼応した形で、受験のスタイルにも大きな変化が発生しているのだ。

出典:文部科学省 高等教育局 大学入学者選抜改革の動向 2020年7月

 私のような親の世代は、「たくさんお勉強していい学校に行けば、将来幸せになれる」というパラダイムで生きてきた。よって受験をするなら勉強のみに集中することを強要され、勉強時間を削ぐ部活はやめる、アルバイトやボランティアなどもってのほか、という環境で育ってきたが、AOではそのような活動こそが受験生の個性を際立たせるポイントになる。部活動も、アルバイトも、ボランティアも常に他人と交わり、共通のゴールを目指して協働したり、意見の相違から反目したり、努力をしても報われなかったり、しかしまた再チャレンジを企画したり、 ととさまざまな経験を与えてくれる。問題集のように唯一無二の正解(Answer)など存在せず、常に解決法の提案(Proposed Solution)を模索する日々となる。そしてそれこそが、不確実な現代を生きるコンピテンシーなのである。

 知識偏重の一発勝負の受験しか知らない親の世代は、AO型の評価には戸惑いが大きいかもしれない。だからこそ、高校の3年間、中高の6年間、小学校高学年からの9年間という長い時間を使って、学びの方向性を親子で一緒にデザインするのも非常に意義深いと思う。それは学校名歴の模索ではなく、真の学歴(学びの履歴)を追求する親子の旅になるのだ。子供のみならず、親にとっても大きな学びを与えるであろう。

 さてコンピテンシーを持って不確実な世の中を生きる力を持ったとして、それでも毎日を希望と夢に溢れて過ごしたいものである。では日本人にとって夢とはなんであろうか?これを次回に深掘りしてみたい。To Be Continuedである。

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