2022年12月10日(土)

ディスインフォメーションの世紀

2022年2月16日

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桒原響子 (くわはら・きょうこ)

日本国際問題研究所研究員

1993年生まれ。大阪大学大学院国際公共政策研究科修士課程修了。外務省大臣官房戦略的対外発信拠点室外務事務官、未来工学研究所研究員などを経て、現職。京都大学レジリエンス実践ユニット特任助教などを兼務。2022〜2023年は、マクドナルド・ローリエ・インスティテュート客員研究員としてオタワで活動。近著に『なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか 日中韓熾烈なイメージ戦』(ウェッジ)。

 国際協力を推進することも重要だ。民主主義の価値を共有する国や地域とさまざまなレベルで連携し、対策における協力メカニズムを模索していくことが求められる。

 ディスインフォメーションは、真実よりも早く広まる。特に重大な危機が差し迫っている場合には、人々は疑心暗鬼になり、これらをより信じやすい心理状態に陥りやすい。これへの対策は、重要な安全保障の一つである。特にこの問題は、一朝一夕に対策を進めることは難しい。台湾有事への関心が高まっている今こそ自国の弱点を直視し、国民全体を啓発しながら対策に向けた議論を加速させるべきである。

「武力行使は容認しない」
意思を明確に示した外交を

 日本には、こうしたディスインフォメーションへの警戒を怠らないための努力と並行して、有事に至らないようにするための能動的な外交を強化する努力が必要である。

 習近平指導部は自らの政策のスローガンとして「中華民族の偉大な復興」を掲げている。指導部は、中華民族には台湾住民も含まれるとし、この「中国の夢」の実現のために台湾統一が不可欠とするが、「台湾の独立分子が祖国統一の最大の障害となっている」とも認識している。台湾が独立を宣言する時が、中国が台湾に武力侵攻する時であり、米国が台湾有事に介入しないと中国が認識した時は、中国の台湾武力侵攻へのハードルが下がる。

 そうした事態を招かぬよう、米国をはじめとする諸外国との防衛協力と並行し、中国に対しては国際社会のルールを守らせるための外交努力を強化し、武力行使を容認しないという意思を明確に示していくことが強く求められる。

編集部からのお知らせ:広報や文化交流を通じて外国国民や世論に直接働きかける外交「パブリック・ディプロマシー」に関する、桒原響子氏による連載「世界で火花を散らすパブリック・ディプロマシーという戦い」はこちらからご覧いただけます。また、『なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか 日中韓熾烈なイメージ戦』(ウェッジ)はこちらからお買い求めいただけます。
 
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