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CHANGE CHINA

2022年2月22日

鄒 幸彤(チョー・ハントゥン)
1985年、香港生まれの法廷弁護士。英ケンブリッジ大学で物理学を学んだ後、弁護士資格を取得。労働団体や中国の人権派弁護士を支援する団体で活動し、2021年9月に解散を余儀なくされた香港市民支援愛国民主運動聯合会(支聯会)では副主席を務めていた。香港警察によって香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕・拘束されたが、今も獄中からメッセージを発信し続けている。

 1月5日、香港の裁判所は無許可の天安門事件の追悼集会に関与したとして、鄒幸彤(チョー・ハントゥン)に禁錮1年3カ月を言い渡した。先立つ2021年12月には、20年に彼女が許可を得ず追悼集会を組織し、人々に参加を呼びかけたとして有罪判決を下している。2つの判決で彼女の刑期は計22カ月となった。

 30年にわたって香港で天安門事件の追悼集会を毎年開催してきたのは、香港市民支援愛国民主運動聯合会(支聯会)。彼女はその副主席だった。20年と21年は新型コロナウイルスをめぐる規制を理由に集会は禁止されたが、少人数がビクトリア公園の周辺などで追悼の蝋燭を灯していた。彼女は一個人として公園で追悼すると表明していたのだが、それが公安条例(未許可集会の公告)違反にあたるのだという。

 16年9月、日本の研究者グループで香港を訪れ、労働問題に関わる香港の民間団体のメンバーと交流した時に、私は初めて鄒氏に会った。彼女は弁護士であり、世界の工場となった中国の労働者の権利擁護のために法律支援を行っていた。

 香港の民間団体には、自ら労働者となって中国の工場に潜入し、長時間労働や給与の未払い、化学物質による健康被害、労災の現場をおさえるほど、ラディカルに活動している者もいる。中国の工場に委託加工を発注している海外の企業にも問題を通報し、法律を守るように圧力をかけるのだ。私は彼らの一貫した理念と行動力に唸らされた。

 香港の民主化運動に参加する若者たちはほとんどが香港生まれで、中国には関心を持たず、天安門事件の追悼集会にも参加しない者が少なくない。1985年生まれ、30代半ばの彼女がなぜ、中国の問題に積極的に関わろうと考えたのだろうか。

 香港で生まれ育った鄒氏は大学統一入試で5科目全てで最高レベルAというトップの成績をとり、英ケンブリッジ大学に進学する。同大学の博士課程で地球物理学の研究をしていた2008年、四川大地震が発生した。自分も被災者を支援したいという思いが募ったが、物理学では社会の問題に直接アプローチできない。そう考えた彼女は、香港に戻り労働団体に入った。そこで法律の知識が必要だと感じ、香港大学で法律を学び、弁護士資格を取った。その後、弁護士として活動しながら、支聯会や中国の人権派弁護士とその家族を支援する活動に奔走した。

 周りの人は鄒氏に、「支聯会に関われば中国政府から睨まれ、中国に行けなくなる可能性もある」と忠告した。しかし、彼女はやるべきことはやるのだと信念を貫き、一時期中国に行けなくなった。

「やるべきことはやる」と強い信念を持って活動していた鄒氏(写真は筆者提供)

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