2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月25日

 第二に言えることは、関与政策を取るとしても、相互の利益になる具体的目標を定めるべきであり、中国の変化を漠然と期待するようなことで進めてはならないということである。

 対中政策で正しいバランスを取ることは難しい課題であるが、その第一歩は、新しい国務、国防両長官が、関与政策によって実現出来ることと出来ないことをはっきり理解することであり、また、中国の指導者が国内の自由化を決断しない限り、自由な国際秩序のまともな一員になれる可能性は少ないことを理解することである、と論じています。

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 これは、ゼーリックの中国に対する甘い期待が見事に裏切られたことを痛烈に指摘した、良い論調です。

 オバマ大統領の就任演説が対外関係にほとんど触れず国内問題を重視していること、ケリー、ヘーゲルとも対外融和派であり中国への認識が甘いこと、国防費の更なる削減が不可避と見られることなどから見て、第二期のオバマ政権がブルーメンソールらの主張する適切な対中政策を当初から取ることは、期待しにくいものと思われます。

 但し、中国が米国の融和的姿勢に乗じて強硬な姿勢に固執するような場合には、米国の政策も、アジア復帰、あるいは、リバランス政策を決めた時の原点に戻る可能性はあります。中国の対応次第ということになるのでしょう。

 また、一旦米国の大戦略として動き出した、アジア復帰、リバランスという巨大な潮流を根本から逆流させることは至難とも思われます。日本は、米国のアジア政策に現れるニュアンスの変化にかかわらず、というよりも、それだからこそ、自助努力の強化とアジア太平洋の友邦との連携強化が肝要であり、こうしたことを通じて米国の対アジア戦略を適切な方向に安定させるのが王道でしょう。

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