いまなお依存するポーランドやチェコ
それぞれ国毎に事情に違いがあろうが、EUがロシア依存の解消に向けて、あるべき当然の姿として緑のイニシアティブの加速を求めれば、いまなお石炭に大きく依存するポーランドやチェコと衝突することとなろう。
例えば、チェコの親EUのフィアラ首相は、EUのグリーン・ディールを「存亡のリスク」と呼んでいる。これに対し、グリーン・ディール担当のティマーマンス欧州委員会委員は最近、ロシアに対するエネルギー依存に対抗するために新たな炭鉱を開こうとする加盟国は「信じ難いほど愚か」だと述べた。
ハンガリーの場合は、少し事情が違うと思われる。オルバン首相にはそもそもエネルギーのロシア依存の体質(はっきりしないが、ガスのロシア依存は80%という数字がある)を変えるつもりはない。対ロシア制裁がエネルギーにおよばない限りにおいてEUに歩調を合わせているに過ぎず、(議会選挙の結果彼が退陣すれば別であるが)EUがいずれ具体的にロシア依存解消に動く段階に至れば、彼との衝突は避けられないであろう。
そうではあっても、ロシア依存からの脱却は東欧諸国のみならずドイツやイタリアにとっても難題を提起しようが、枢要な部分をロシアに依存するエネルギーの安定供給があり得ないことは今や明白というべきであろう。