2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月8日

 世界から真実を伝えていくことが重要だ。元加州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーが3月17日付アトランティック誌サイトに、「ロシアの友人へのメッセージ」と題し、ウクライナ戦争の真実を発信している。音声メッセージも付いたパワフルな発信だ。

やはり、「歴史は終わらない」

 フクヤマは、近々新著「自由主義とその不満者達(Liberalism and Its Discontents)」を出版する。フクヤマは1989年にナショナル・インタレスト誌に論文「歴史の終わり」を発表、世界に大きなインパクトを与えた。しかし、世界ではその後もウクライナを含め武力紛争が絶えない。フクヤマは、今回の記事で、間接的ではあるが、ウクライナ侵略を多くの人が「歴史の終わり」の終わりを画するものだと見ていると述べる。

 なお、フクヤマの後93年にはサミュエル・ハンティントンが、論文「文明の衝突か?」等を出し、歴史は終焉しないと主張した。当時日本を含め多くの学者達がハンティントンの議論について学問的でない等と辛辣な批判をした。こうした批判は不合理だったように思われる。「冷戦後の世界の紛争は文明間の紛争になるのではないか?」とのハンティントンの問いかけは重要だったと言ってよいだろう。

 残念ながら国際社会から紛争は無くならない。その意味で「歴史は終わらない」のである。しかし、ベターなイデオロギーがない以上、長期的に自由主義は勝利するだろう、そうであっても、自由主義を守る闘いを続けていくことが必要だ、とのフクヤマの主張に異論はない。とりわけ、権威主義的な大国である中国による脅威の増大を抱え、自由主義秩序の維持は死活的に重要な問題である。

   
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