2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月11日

即時停戦がロシアのためであるという説得を

 3月16日頃には、ウクライナ筋から15項目からなる停戦合意が近いとの見通しも報道されたが、3月23日には、ロシア側から米国が停戦を妨害しているとのコメントがあり、停戦の機運が遠のいているが、これはロシアが交渉を引き延ばしていることを示唆している。プーチンは、もともと停戦するつもりは無く文民に対する無差別攻撃を継続、強化することにより、ウクライナ側の戦意喪失を待つ作戦なのではないかと疑いたくなる。

 ウクライナ人の命を救うためには、プーチンがこのような軍事侵攻に踏み切った理由やこれまでの経緯を考慮すべきだとの意見が内外に散見されるが、これは正に信用できないプーチンの主張である。ウクライナ人側には、命を懸けても守りたいものがあることを理解すべきであろう。

 ロシアに影響力を持つ国や人脈を持つ人物は、全力でロシア側に即時停戦を働きかけ、無差別攻撃を続けることが利益とならないことをロシア側に理解させるよう努力すべきである。特にプーチンに対しては、その意図は交渉により実現すべきもので、そのためにはまず即時停戦が必要であると説得するべきであり、それができるのはロシアが頼りとしている中国しかない。

 3月24日の北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議でもそのような意見が出たようであるが、中国には、そのような役割を果たす重い責任があるというべきであろう。

   
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