2024年7月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月18日

やはり、エネルギー分野に踏み込むしかない

 そうであれば、ロシア経済に更なる圧力を加える方策如何ということになる。それは、この記事が示唆するように、エネルギー分野に踏み込むかどうかということにならざるを得まい――これまでのところ、欧州のエネルギーのロシア依存の故に制裁は非エネルギーの分野に限定されている。放置すれば、ロシアは外貨準備を再び蓄積し、輸入能力を拡大することが出来る。

 欧州がロシアの原油の輸入を止めても、他にこれを買う国が常にあろうが(もっとも買い叩かれるのでロシアの収入減となり痛手にはなる)、ガスは様子が異なる。ロシアのガスの輸出にはインフラ(パイプライン)を必要とすることから、主たる買い手は欧州に限定されている。従って、欧州がガスの輸入を止めることが出来れば、ロシア経済を痛撃出来る。

 西側の制裁の信頼性がかかっていると論ずる向きもあるが、そうはなりそうにない。ドイツのショルツ首相は、欧州は公共サービスや市民生活に必要なエネルギーをロシアからの供給以外の方法で確保は出来ないと述べて、その可能性を否定している。目下のところは、ガス供給源の多様化と再生エネルギーへの転換を含むロシア依存抑制のための欧州連合(EU)全体の努力に待つしかないらしい。

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