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2022年4月27日

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吉村慎司 (よしむら・しんじ)

北海道国際交流・協力総合センター客員研究員/北海道建設新聞記者

1971年鳥取市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科修士課程修了。97~2010年日本経済新聞社勤務。11年ロシア・ウラジオストク国立経済サービス大学短期留学。
 

 「Wedge」2022年5月号に掲載され、好評を博している特集「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
ロシア語が掲げられる根室港 (SHINJIYOSHIMURA)

 ロシアに至近の北海道では、中小企業・地域レベルで長く保たれてきた経済的なつながりが一気に縮小している。

 北海道の北隣に位置するサハリン島に取引先を持ち、建築資材の輸出を手掛けてきた札幌市内の商社経営者が、戸惑いながらこう打ち明ける。「ウクライナ侵攻前に受注した輸出案件で、ロシアの取引先はいつも通りに前金を当社の日本の銀行口座に送った。しかし銀行が、その直後に出た日本政府の経済制裁措置の流れで着金処理を拒んだ。代金のやりとりができない以上、取引を断念せざるをえなくなった」。

 同商社はこの結果、輸出向けに調達した100万円相当の在庫を抱えた。ロシアの取引先は製品を得られないのはもちろん、国際送金の組み戻しに伴う為替差損の負担を強いられた。商社は「対露制裁で、末端の事業者も制裁される現実を知った」と肩を落とす。

 経緯はこうだ。商社は2月中旬、数年前から取引を重ねてきたサハリン州内の建設関連業者から、外壁材や関連部材の発注を受けた。複数のベンダーから仕入れる過程で想定以上に日数がかかり、その間に予想もしない侵攻が始まった。ほどなくして国際銀行間通信協会(SWIFT)がロシアの一部銀行を排除すると表明。商社とサハリン側は、情勢がさらに悪化する前に取引を終える方針で合意した。

 北海道からサハリンへ向かう貨物船は不定期で毎月1便程度しかない。スケジュールが判明している次の便で資材を運ぶためには、ロシアからの支払いは3月10日すぎに済ませたい。取引先が使う銀行はSWIFT制裁対象外だったが、安全性確認などで再び手続きが滞る。送金が終わっていない3月15日、経済産業省が半導体関連など幅広い製品に輸出禁止措置を科すとの報道が流れた。施行は3日後の18日という。ただ、……

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Wedge 2022年5月号より
プーチンによる戦争に 世界は決して屈しない
プーチンによる戦争に 世界は決して屈しない

ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。

もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。

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