2022年12月9日(金)

家庭医の日常

2022年4月25日

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葛西龍樹 (かっさい・りゅうき)

福島県立医科大学 医学部 地域・家庭医療学講座主任教授

1984年北海道大学医学部卒業。北海道家庭医療学センター設立および所長を経て、2006年から現職。英国家庭医学会 最高名誉正会員・専門医(FRCGP)。日本プライマリ・ケア連合学会監事。著書に『医療大転換 ─日本のプライマリ・ケア革命』(ちくま新書)など多数。

 スクリーニング開始年齢を5歳引き下げたのも、喫煙歴を10 pack-year 少なくしたのも、それぞれをサポートする臨床研究のエビデンスが13年のガイドライン以降に発表されたからである。どの研究のどんなエビデンスを参照してガイドラインが更新されたかは、ガイドラインとともに発表される論文で明らかに示されている。

 一方、しばしば日本ではエビデンスやガイドラインを固定したもの、あるいは絶対的なものとして捉える傾向がある。エビデンスに基づいた医療(evidence-based medicine; EBM)を何かルールに従って診療することのように理解している。残念なことに、その「ルール」の根拠になった臨床研究とそれを採用した意図を積極的に開示している機関・団体はまだ多くない。

ウクライナの専攻医たち

 前回『危機のウクライナで奮闘する家庭医 広がる支援の輪』で紹介したウクライナ西部ウジホロドの家庭医の指導医パブロからは、近況を綴ったメールが毎週届いている。困難な状況の中で、ヨーロッパを中心に世界家庭医機構(WONCA)の家庭医からの支援を得つつ、勇敢に地域住民と避難民へのケアを続けている。

 そして、彼ら指導医と共にその現場で懸命に研修を続けている専攻医たちがいる。医療機関も攻撃の標的とされる異常な状況下で、着の身着のまま避難してきた医師もいる。聴診器や耳鏡などの基本的な診察道具さえ不足していて、世界の家庭医から寄贈された道具を受け取って喜ぶ専攻医たちの写真も送られてきた。

 毎週オンラインで、世界の家庭医の指導医から危機の下でのケアを学んでいるという。彼らはどんな家庭医に成長するのだろうか。いつか彼らに会えることを夢見たい。

  
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