2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月10日

いかにロシアの目をかいくぐり加盟するのか

 スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟する場合のシナリオとしては、同時加盟がかねて想定されて来た。それが不安定化を避ける道筋であり、恐らくそうなるであろう。

 何故なら、フィンランドのみが加盟した場合、そのNATOとの地上の結節点はアクセス困難な山岳地帯のノルウェー国境のみとなるが、スウェーデンの領域を使うことなくNATOはフィンランドを防衛出来ない。一方、スウェーデンのみが加盟した場合、フィンランドをロシアの圧力に晒し、その諸々の影響がスウェーデンに及ぶことが懸念されるからである。

 ロシアは、両国がNATOに加盟する場合、「ロシアの適切な対応を必要とする深刻な軍事的・政治的結果」をもたらすと繰り返し警告している。最も危険なのは加盟申請から加盟国の承認を得て加盟が実現するまでの間であるが、ストルテンベルグNATO事務総長は適切な方策を見つけると述べている。どういうことがあり得るのか分からないが、ロシアがウクライナに忙殺される間に加盟実現に漕ぎ付けることが良策であろう。

 ビルトの論説が指摘するように、フィンランドの長いロシア国境の反対側はロシアにとって敏感な地帯のようであるから、挑発と受け取られることは避ける必要がある。それには、フィンランドにおけるNATOの軍事プレゼンスの種類に慎重を期すということであろう。

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