欧州委員会はこれら諸国に時間的猶予を与える(例えば、ハンガリーとスロバキアには2024年末まで)ことにより説得を試みているようであるが、ハンガリーは制裁対象からパイプラインによる輸入を除外するよう要求するに至っている。
懸念を吸収し、制裁へ
欧州委員会は、ロシア原油を運ぶタンカーに海上保険を付与することを禁止することも検討中のようである。ギリシャやマルタの海運会社が懸念を有するらしいが、世界市場(中国とインド)へのロシア原油の輸出に大きな制約要因となり得る。しかし、海上保険の禁止の実効を期すにはEUだけでなく、日本を含む西側の保険企業を対象にする要があると思われ、今後、G7で検討されることになるのかも知れない。
ハンガリーなどロシアへの石油依存を一朝一夕に低減・解消し得ない実際的な理由のある加盟国があることは止むを得ず、これら諸国に時間的な余裕を与え、あるいは対象から除外してでも(EU全体との対比で量的に大きくはないであろう)、輸入禁止の制裁を急ぐことが賢明であろうと思われる。