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ニュースから学ぶ人口学

2022年6月27日

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変動する社会に合わせた生活への支援を

 そうは言っても、結婚支援は必要である。男女共同参画白書が特集を組んだように、人生100年時代に近づいて、人生の長さが変わっただけではない。家族の形が大きく変わっている。

 高度成長期後、三世代世帯を中心とする直系家族制の世帯形成原理から、核家族を世帯形成原理とする時代へと変化した。核家族制度のもとでは、若者と高齢者の単身世帯が増えるものだが、現在では生涯非婚者の増加が単独世帯の増加を加速させている。

 また家計の担い手が世帯主だけではなくなった。1990年代を境にして、(妻が64歳以下の世帯のうち)男性雇用者と妻からなる「専業主婦」世帯が半減して、反対に雇用者の共働き世帯が大幅に増加して、その割合が逆転したのである。離婚によるひとり親世帯も増加している。

 このような変化を背景にして、一人ひとりがどのような人生を歩めば良いのか、それを若いうちから考える機会を持つべきである。民営、公営の婚活事業は多数あるが、それとは別の教育機会が求められる。

 寿命が伸びたからといって、子供を産める期間が倍になったりはしないのだ。結婚するかしないか、子供を持つか持たないかのライフコースの選択は個人の自由である。しかし結婚、出産を決意したからと言って、すぐに成就できるわけではない。相手を見つけ、一定の交際期間を経て結婚に至るまでの時間や一定の妊娠期間が必要だ。妊娠確率が年齢によって変化することを知り、ライフイベントのタイムスケジュールを自分で設計することを学ぶ必要がある。

 こうした知識を伝えるために、熊本県のある「婚活コーディネータ」の女性は、高校生を対象に「逆算のライフデザイン」を実践しているという(NHK総合「ロコだけが知っている・結婚スペシャル・全国の口コミ大調査&絶景フォト&婚活界の瞬間接着剤」2022年6月1日初回放送)。

 男女共同参画白書のサブタイトルに、「『あなたらしい』を築く、『あたらしい』社会へ」とあるように、今求められているのは、大きな時代の変化の波に飲み込まれないように、正しい知識に基づいて、新しい時代に相応しい生き方を模索することである。社会は若者に、その機会、時間、情報、資金などを惜しみなく与え、支援する必要がある。

  
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