2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月27日

 左翼連合は、予想されたほどの大躍進はしなかったが、その分、マクロンへの異議申し立てが、極右のRNに流れたとも考えられるので、フランス国民のナショナリストやポピュリストへの傾倒は強いものがある。

マクロンはどう議会運営し得るのか

 マクロンが目指す、福祉制度改革、年金支給年齢の引き上げ、現下のインフレ対策のための購買力強化のための社会給付など、主要政策を遂行できるか否かは、唯一、協力相手となりうる中道右派の共和党にかかっている。共和党は61議席を獲得しているので、マクロン派の議席と単純に足せば過半数を上回る計算になる。

 しかし、共和党内では、サルコジ元大統領らの親マクロン路線と、極右を意識したより強硬な路線が対立している。共和党側の協力のあり方が、サルコジ等の親マクロン派が与党に参加するのか、あるいは、政策ごとに是々非々で協力するのかによって政権の安定度に大きな影響が出てくる。

 決選投票を受けてのジャコブ共和党総裁の最初のコメントは、野党の立場を維持するというものであったが、協力の余地がないというわけではないだろう。いずれにせよ、マクロンは今後、法案を通すために議会との交渉と譲歩を強いられることになる。

 他方、反NATOで欧州レイ(EU)に懐疑的な左右両極が勢力を大きく拡大したが、国防と外交は大統領の専権事項であるから、国際協調主義、EUの改革・強化を目指すといった外交方針に大きな変化が直ちに生じることはないだろう。

   
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